中尾:最近、とくにそう思います。みんな、面倒を避けているような印象を受けます。
和田:そうですね。どうも日本人は昔に比べて、相対的に喧嘩をしなくなってきたような気もします。中尾さんの世代よりももっと上だと思いますが、作家の野坂昭如さんと映画監督の大島渚さんの大喧嘩の映像がとても記憶に残っていますけども、侃侃諤諤と意見を主張し合って、みんな闘っていたように思いますね。そのなかから濃厚な人間のコミュニケーションがあったようにも思います。
中尾ミエ・和田秀樹 著
中尾:そうですね。そんな時代に比べて、今は世の中全体で物をはっきりと言わなくなっている風潮があります。言えることの範囲を自分で狭めてしまっているので、やることなすこと縮小してしまっているように思います。
和田:ええ、そういう風潮は前頭葉には本当に悪いと思うのです。余計なことを言ったら嫌われてしまう。それで新しいことにチャレンジしたりするのに躊躇するならば、それは前頭葉にいちばん悪いですね。男性ホルモンにとっても悪いと思います。
言いたいことをはっきり言う。やりたいことをやる。新しいことにチャレンジしてみる。それをしないと前頭葉がダメになってしまう。