和田:年を取ると、見た目の若さ・美しさが衰えていく一方で、おしゃべりな人間、話のうまい人間のほうがモテるような気がします。それは男性だけでなく、女性もそうなのではないかと思うのですが。
中尾:ええ、そうですね。
和田:見た目もさることながら、話の内容が面白いとか、伊達に年を取ってないなと思わせられるかどうかで、年を取ってからの魅力というのも違いますよね。そうした話の内容の面白さについては、脳のなかの前頭葉といわれる部分の働きが大きく関与しているといわれています。
つまり、物知りな人というのは側頭葉が発達していると考えられます。ですから言語機能が非常に高い。また、計算が速い人は頭頂葉が発達しています。
これらに対して前頭葉というのはクリエイティヴな能力を司る部分です。意外性への対応能力、応答可能性のようなものもこの前頭葉が大きな役割を果たしています。ですから、前頭葉の働きが悪くなると、前例を踏襲する思考パターンになりがちですし、新しい冒険もしなくなります。クリエイティヴなことを思いつかないのです。いわば、前頭葉が意欲を司ると言ってもいいでしょう。