「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「仕事が圧倒的にできない管理職」が口にする言葉・ワースト1Photo: Adobe Stock

「いったん結論を出す」というクセ

 意思決定において、マインドセットは大事です。

「絶対的に正しい意見はない」ということ。
「つねに正解を出し続ける天才はいない」ということ。

 そういう前提で、組織の土壌をつくっていきましょう

 そうでないと、仕事ができない管理職になってしまいます。

「とりあえず正しいとしておく」という態度

 科学の世界でも、すべては「仮説だ」と言われています。
「100%ではない。けれど、とりあえず正しいとしておいて話を進める」
 というスタンスです。
 そうしないと、科学が前進しないからです。

 仮説のまま、いったん正しいことにしておいて、その前提で物事を進めていく
 その結果、仮説が間違っていることもあるでしょう。
 それは、「いいこと」なのです。

 仮でも、その場で結論を出すことが大事なのです。

 たとえば、部屋探しするときのことを考えましょう。
 100%満足できる部屋を探していると、いつまで経っても、住む場所は決められません。
 まずは、優先すべきことを洗い出して、その最低条件を満たすところに住むはずです
 そして、もしその後に新しい部屋を見つけたら、そのときは引っ越せばいい話です。

 実家を出ることなく、人生で一度も引っ越しを経験していない人は、きっとこう言うでしょう。

「最初から、一生、住める部屋を探せばいいのに」

 そんなことが不可能なのは、引っ越したことがある人には説明不要です

 仕事ができない管理職は、「こうすればいいのに」と、後出しで文句を言いがちです。
 そういうクセがないかどうかを確かめておきましょう。

大前提「人は間違える」

 人間はミスをします。
 どんなに経験を積んでも、同じです。
 失敗の確率は下がるかもしれませんが、それでもいつかミスをするのは間違いない

 私は、徹底して「感情をわきに置く」ということを支持します。
 それは、最初は「意識しないと難しいから」です。
 難しいことは、繰り返し語る必要があります。

 人は時に、感情に流されて、衝動的な行動をとってしまいます
 理性で考えておけば、取り返しのつく失敗で済んでいたかもしれません。
 しかし、感情に振り回されると、取り返しのつかない失敗になってしまう。

「ついカッとなってしまった」
「モヤモヤしていた」
「無気力でボーッとしていた」
……

 そんなとき、人は取り返しのつかない判断をしてしまいます。
 いとも簡単に「賢者」「愚者」になるのです。
 感情を整理して、論理的に考える姿勢は、いかなるときも大事です。

 こうやって原理原則を伝える。
 けど、そこからズレることは起こる

 一度でも、「夏休みの宿題の計画」を立てたことがある人ならわかるでしょう。
 その計画通りに、40日間を過ごせた人が、何人いるでしょうか
 おそらく、限りなく少ないでしょう。

 では、「計画が必要ないか?」と言われると、そういうことではありません。
 大まかに日々向かっている方向性は示さないといけません
 その上で、1日1日、誘惑に負けない仕組みを作り、できるだけそれに合わせて動くようにするのです。

 意思決定は間違える可能性がある。
 それがわかった上で、それでもおこなう意思決定。
 それが、「パーフェクトな意思決定」なのです。
 仕事ができない管理職が陥る「思考停止」とは真逆の概念です。 

(本稿は、パーフェクトな意思決定の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。