【ワシントン】200万人余りを雇用し、年間6兆ドル(約930兆円)超を支出する米連邦政府に無駄や非効率な点があるということは、ほぼ誰もが認めている。ただ、何が無駄で、それをどうやってなくすかについて合意を得るのは別の話だ。
ドナルド・トランプ次期大統領が設置する「政府効率化省」(DOGE)にとって最大の難題は、意味のある金額でそうした合意を共和党内を含めて形成することだろう。まだ中身がはっきりしないDOGEを主導するのは、世界一の富豪の実業家イーロン・マスク氏と、一時は共和党大統領候補の1人だったバイオテクノロジー起業家ビベック・ラマスワミ氏だ。マスク氏とラマスワミ氏は政権当局者と協力して、規制緩和や、連邦政府の官僚機構の縮小、政府機関の再編のための方法を見つけることになると、トランプ氏は12日に述べた。
今年の大統領選でトランプ氏の有力な支持者かつ資金援助者になったマスク氏は、少なくとも2兆ドルの歳出削減が可能だと述べていたが、それが毎年なのか時間をかけて削減するのかは明らかにしなかった。しかし連邦予算の中で歳出額の大きな項目には事実上、手がつけられない。政府には国債の利払い義務があるほか、トランプ氏は社会保障やメディケア(高齢者向け公的医療保険)の給付金は保護すると約束している。マスク氏の目標を達成するには、他の項目での大幅な歳出削減が必要になり、これに民主、共和両党の議員が抵抗するのはほぼ間違いない。