トランプ圧勝後の“黄金時代”の危うさ、「MAGAファシズム」で何が転換するのかPhoto:Chip Somodevilla/gettyimages

「経済と移民」問題に絞って支持拡大
トランプ氏は本当に“救世主”なのか?

 2024年アメリカ大統領選挙は、共和党のトランプ前大統領の圧勝で幕を閉じた。激戦州のすべてを制し、さらに上院だけでなく下院も共和党が議席の過半数を勝ち取りそうな勢いだ。

 経済と移民の二つの問題に焦点を絞って民主党政権を攻撃した戦略が功を奏し、本来は民主党の支持基盤である黒人やヒスパニックなどのマイノリティーにも支持を広げたが、逆に言えば、それは民主党がこれらの問題に対する説得力のある対応や答えを示せなかったということでもある。

 改めて印象付けたのは、岩盤支持層とされる白人労働者やキリスト教保守派などの勢力の強さだ。1990年代以降、進められてきた新自由主義によるグローバル化が進み産業空洞化や、輸入品、移民の急増、雇用不安の下で伝統的な価値観が揺らいでいると感じる層に、トランプ氏は「アメリカを再び偉大に(MAGA)」を掲げて“救世主”のように振る舞った。

 勝利演説でトランプ氏は「アメリカがこれから黄金時代に入る」と宣言した。

 これからアメリカはどうなるか。トランプ氏が言う「黄金時代」とはどういう時代なのか。

 それはグローバリゼーションによる繁栄から「取り残された層」の満足を取り戻すだけにはとどまらない、さまざまな問題がありそうだ。