「人生最後」という究極の質問
人はどうするか
「今日が人生最後の日だったら、あなたはどう生きたいか?」
海の見える部屋でのんびり過ごし、人生を終えたい。家族といつもと同じように過ごして、眠りにつきたい。色々な選択肢があるが、「人生最後」という究極の質問について、正直あまりリアリティをもって考えにくいと思った方もいるのではないだろうか。それは、自分が健康であることの証拠なのだが。
本書『新版 今日が人生最後の日だと思って生きなさい』は、4000人の患者を看取ったホスピス医である著者の経験を通して導き出された、人生の真実をつづったものである。自分が人生の最終段階にいると知ったとき人はどうするか。多くの人は、当たり前に来ると思っていた「明日」を迎えることも難しいのだ、と絶望する。しかし、絶望と苦しみを受け入れて、それらに向き合えるようになると、新たなステージに立てるという。自分の人生に意味を見出し、自分が果たした役割を確認する。やりたいことはたくさんあるのに、もう全てできる時間がない――。そう気づき、自分にとって本当に大切なものは何かを真剣に考えるようになる。より良い最後の日を迎えるために、記憶の糸をたぐり寄せて、自分の人生を振り返るのだという。そうして絶望の先に希望を見出すのだ。
希望を見出すまでには、様々な葛藤を抱くことだろう。だが、そのときに自分が何を見つけられるのか。それを考えると、不安が和らぐような気がする。苦しみと向き合わざるを得ないとき、本書で語られる人生の真実が、きっとあなたを勇気づけてくれるだろう。(泉 未来)