QRコードでの注文に戸惑っているお客さんに「すごく感じのいい店員さん」は何と声をかける?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
安心させる一言とは?
これは、友人から聞いたアパレルショップでの出来事です。
よく利用するお店なので、いつものようにサイズだけ見て、試着せずに購入しました。
ところが、いざ家で着用しようとしたところ、誤ったサイズを購入したことに気づきました。
そこで、交換してもらうためにレシートを探しましたが、どうしても見つかりません。
翌日、「対応してもらえるだろうか…」と心配しながらお店に出かけ、「すみません、レシートがどうしても見つからなくて……。昨日財布を整理したときに間違って捨ててしまったようなんです」と伝えると、返ってきたスタッフの一言にほっとしました。
「あ~、ありますよね。あ、もしかして、心配させてしまいましたでしょうか?」
その後、購入して間もないことと、ショップカードで購入履歴が確認できたこともあり、速やかに交換してもらうことができました。
「どう思ってるか」を言葉にしよう
また別の友人の話では、あるレストランでQRコードを使った注文に戸惑っていると、様子を見ていたスタッフがそばに来て、
「ちょっとわかりにくいですよね」
と声をかけてくれたそうです。
自分だけが戸惑っているかと思っていたので、その一言がありがたかったと言っていました。
二つのエピソードに共通するのは、相手の気持ちをこちらから言葉にしていることです。
相手にしてみると「理解してもらえている」「一人ではない」と感じられ、精神的な安定を得やすくなります
私も会社員時代、とあるプレゼンで期待どおりの結果が出ず、落ち込んでいたときに、同僚から「頑張った分だけ悔しいよね」と、声をかけてもらったことがありました。「だいじょうぶ、だいじょうぶ、次があるよ!」や「とても良かったよ」などとフォローされるよりも、わかってもらえていることに、救われた思いがしました。
困っていたり、落ち込んでいる人に「何と声をかけようかな」と迷うことがあったら、「こんなふうに思っているんじゃないかな」を、言葉してみてください。
時には、何よりの励ましになることがあります。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。