ジョー・バイデン米大統領や彼の報道担当者の1人は、バイデン氏が息子のハンター氏に恩赦を与えることはないと有権者に何度語っただろうか。今や、バイデン氏がよく言う「バイデンとしての言葉」を本人がどれほど真剣に受け止めているかが分かる。同氏は1日、刑務所行きから息子を救った。ほぼ前例のない広範な刑事免責を与えたのだ。
11月の大統領選後にバイデン氏が心変わりすることは予想できた。疑問の余地がある恩赦については、どちらの政党も潔白ではない。ハンター氏が今や正道を歩んでいるなら、それは喜ばしいことだ。依存症の経験がある多くの人々はバイデン一家が経験してきたことに同情するだろう。しかしわれわれは、大統領が実際に起きたことを書き換えて恩赦の政治的影響をごまかすのを許すわけにはいかない。
バイデン氏は声明で、「合理的な人がハンターの事件に関する事実を見れば、ハンターが私の息子であるという理由だけで標的になったという以外の結論には至らないだろう」と述べた。さらに、「生々しい政治がこのプロセスに影響を及ぼしてきた」と付け加えた。ハンター氏が昨年デビッド・ワイス検事から提示された実刑を免れる司法取引が法廷で破談になったことに言及した。バイデン氏はこの取引条件について「ハンターの事件を公平かつ妥当に解決するものだったはずだ」と述べた。
その見方は、銃に関する容疑についてはその通りかもしれないが、背景が重要だ。陪審は6月、コルト拳銃を購入した際に違法薬物の使用について虚偽の申告をしたことなど、銃器に関する法律違反3件でハンター氏に有罪評決を下した。このような違反が訴追されることはめったにない。一方で、ハンター氏のように自白のような回顧録を書く人はめったにいない。ハンター氏はその銃を、当時のガールフレンドが高校の向かいにある食料品店のゴミ箱に捨てるまで、11日間所持していた。
脱税に関しては米内国歳入庁(IRS)の内部告発者2人が、ハンター氏は特別に優遇されたと証言した。監督特別捜査官ゲーリー・シャプリー氏は議会で、ハンター氏の捜査の扱いについて、「私がIRS在職14年間に扱ったどの事件ともまったく違っていた。すべての段階で容疑者に有利な決定がされた」と述べた。ジョセフ・ジーグラー特別捜査官は故意を示す証拠として、ハンター氏が薬物の影響を脱していたと思われる2020年に、事業経費控除の虚偽申告容疑について認めたと指摘した。