ウクライナは兵器「自給自足」を 欧州の新たな支援東部ドネツク州でウクライナ製ドローンを操縦する第24機械化旅団のドローン専門部隊(11月)
Photo: Serhii Korovayny for WSJ

【キーウ(ウクライナ)】ウクライナを支援する欧州の同盟諸国は、同国へ供与するのに十分な武器を生産することに苦労している。そこで、新たな手法を開拓している。ウクライナに資金を渡して自ら武器を製造させるというものだ。

 この新しいアプローチでは、欧州諸国がウクライナ政府と契約を結んでいる資金難の同国武器メーカーに対し、ウクライナ軍向け装備を生産するための資金を提供する。これにはロシア領内を攻撃できる長距離ミサイルや無人機(ドローン)も含まれる。ウクライナ側はどの企業と協力し、どの兵器を購入するかを同盟国に伝え、欧州側は支援する前に独自にメーカーの審査を実施する。

 地対空ミサイルシステム「パトリオット」などの高性能兵器については、今後もウクライナは西側同盟国に頼ることになる。だが当局者は、この新アプローチにより、欧州製武器が生産されるのを待つよりも迅速かつ大量に武器を調達できるようになる、と話している。ウクライナでこれが可能なのは、資金不足のせいで、国内武器産業の稼働率が生産能力を大幅に下回っているからだ(一部の推計では潜在能力の30%にとどまる)。

 推進派は、ウクライナの防衛企業が多くの兵器を、西側のサプライヤーよりも迅速かつ安価に量産できると主張する。その一方で、ウクライナ企業は刻々と変化する前線のニーズに合わせ、より特化した装備を提供しながら、将来に向けた防衛産業の強化を図れるという。

 デンマークが今年、ウクライナと共同で開発したことから「デンマーク・モデル」と呼ばれるこのアプローチは、諸外国の参加を促し、関心を集めている。デンマークのトロルス・ルン・ポールセン国防相によると、ノルウェーやスウェーデン、リトアニアが資金を提供しており、他の国々も関心を寄せている。ドイツがすでに同様のアプローチを採用したほか、オランダも並行してウクライナ企業と直接契約を結んでいる。