「米公務員の在宅勤務廃止」は実現可能?Photo:Brandon Bell/gettyimages

 米国最大の労働力である公務員たちが近く、フルタイムで職場に戻るよう命じられる可能性がある。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、連邦政府の官僚を大幅に削減すると約束しており、富豪で実業家のイーロン・マスク、ビベック・ラマスワミの両氏を政府効率化の取り組みの先導役に任命した。両氏は既にリモートワークの職員に狙いを定め、連邦職員に週5日の出勤を義務付ければ、自主退職者が大量に出るという歓迎すべき結果をもたらすだろうと述べている。

 マスク氏とラマスワミ氏は20日にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載された 寄稿 で、「連邦職員が出勤を望まないのなら、新型コロナウイルス感染症時代の在宅勤務という特権の費用を米国の納税者が彼らのために支払うべきでない」と述べた。

 この取り組みに深く関わっている人物によると、リモートワークの廃止は、来年1月20日のトランプ氏の大統領就任後に、新政権が早期に取り組む可能性のある活動項目だと考えられている。

 それでも、そのような結果になるかは全く分からない。

 米行政管理予算局(OMB)の2024年報告書によると、連邦政府の公務員230万人のうち、30%近くは退役軍人だが、食品安全検査官や医療従事者などの業務の特性から、全体の半数余りが既に対面で働いている。就業時間の一部についてリモートワークが認められている残りの職員は、平均で就業時間の61%を職場で過ごしている。米国勢調査局の調査では、対面とリモートの時間の割合は、連邦職員と民間部門の従業員でほぼ同じとなっている。

 新設が提案された政府効率化省(DOGE)は、マスク氏とラマスワミ氏が率いるよう要請された助言組織で、必ずしもそうした命令を出す直接的権限を持つわけではない。連邦政府職員の労働組合のリーダーらは、労働条件の変更については団体交渉で話し合われるべきだとしている。