20万部を突破し、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」で総合グランプリに輝いた『佐久間宣行のずるい仕事術』。その刊行から2年、著者でテレビプロデューサーの佐久間宣行さんが新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』を上梓しました。上司の悩みの裏には部下の悩みが潜んでいます(逆もしかり)。しかし、「上司は部下の」「部下は上司の」気持ちはわからないものです。そこで本書は上司と部下、それぞれの気持ちを解説しつつアドバイスをする1冊となっています。
今回は、本書の刊行記念イベントのお悩み相談コーナーの模様を、ダイジェストでお届けします。職場の人間関係やメンタルのコツ、転職に役立つノウハウなどにまつわる佐久間さんのアドバイスを、ぜひ参考にしてみてください。(構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

配属ガチャがハズレでも「結局、出世する人」が職場でやっていることPhoto:Adobe Stock

Q. 希望しない部署に配属されたらどうすればいいですか?

質問者:20代男性
――就職先での志望は営業なのですが、別の部署に配属される可能性もあります。もし自分の思い通りの職種につけなかった場合、どのようなモチベーションで頑張ればいいでしょうか?

佐久間さんの回答
 僕の場合、新卒で入社したテレビ東京では、希望通り「制作」の部署に配属されました。でも、希望通りだったがゆえに、肩に力が入りすぎて、会社の仕組みをよく理解しないまま企画を出し続けたので、最初の1年半くらいを無駄にしてしまった記憶があります。

 つまり、希望部署の中にいると、そこで働く上で必要なスキルやルール、社内での位置づけなどを客観的に見られないんですよね。

 だから、志望していない部署に配属されたら、自分が入りたい部署を「俯瞰できる立場」に立てたと考えて、いつかそこに異動しときに「どんなスキルが必要そうか」「どう立ち回ればうまくいきそうか」を外から観察できるチャンスだと捉えればいいと思います。

 ちなみに、いまメディアの制作部門で活躍している人の中でも、制作ではない部署からキャリアをスタートしている人は少なくありません。

 メディアの場合、「制作への志望度が高い人」が多い。なので、そういう人が最初に営業の配属になると、めちゃくちゃ悔しい思いをします。でも、そういう経験を一度している人の方が、キャリアの中盤以降に制作で成功することが往々にしてあるんですよね。

 なぜかというと、一部署のルールしか知らない人が、継続的に成果を出すのはなかなか難しいからです。一方、一度でも営業として働くと、会社のお金の流れを実地で学べます。そうすればお金をたくさん使う制作部門に移ったときに、「どういう企画なら通りやすいか」とか「どの部署と連携すべきか」が的確にわかるんです。

 正直言って、長い社会人人生の中で、最初の2~3年を第一志望ではない部署で過ごしたとしても、その場所で日々努力し続ければ、遅れには全くならないです。これは間違いありません。

 志望部署で働くチャンスを一度もくれない会社というのは、実はあんまりないので、もし思い通りの配属にならなくても、腐らずに数年頑張ってみてはいかがでしょうか。

(本稿は、新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』刊行記念イベントのダイジェスト記事です)