20万部を突破し、いまだ人気がおとろえない本『佐久間宣行のずるい仕事術』(※)。その刊行から2年、著者、佐久間宣行さんが新刊、『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』を上梓した。上司の悩みの裏には部下の悩みが潜んでいる(逆もしかり)。しかし「上司は部下の」「部下は上司の」気持ちはわからないもの。そこで本書は上司と部下、それぞれの気持ちを解説しつつアドバイスをする1冊となっている。この連載は本書の中から、職場の人間関係やメンタルのコツ、転職に役立つノウハウなどを紹介していく(構成/石塚理恵子)。
(※)『佐久間宣行のずるい仕事術』は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」で総合グランプリ・ビジネス実務部門賞のダブル受賞を果たした。

【出世はアウト!?】仕事ができない「頭の悪い人」がやりがちなミス・ベスト1Photo: Adobe Stock

会社では誰と仲良くすると
トクなのか?

「あの人は仕事ができそうだから」「あの先輩は親切に教えてくれるから」「あの上司は役員と仲が良さそうだから」と、相手を見て誰と仲良くするのが得かを考えているうちは、誰が自分のキャリアに役立つかの判断はつかないと思う。

 会社で仲良くすべき人が誰かがわからない人はまず、自分に目を向けるのがおすすめだ。

 どんなキャリアが「自分の理想イメージ」か。

 それを言語化できれば、自分にとっての大事な人が見抜けるようになる。

「キーマン」は一人ひとり違う

「実力をつけてフリーになりたい人」と、「社内出世を考えている人」「あの部署のあの仕事をやりたいと思っている人」とでは、大事にすべき人間関係はまったく違う。

 自分が望むキャリアを具体的に考えて、目標から逆算すれば「つながっておくべき人」は自然とわかる。

 それがわからないとしたら、手に入れたいスキルや理想のキャリアが抽象的なままなのかもしれない。

社内の「駒」にまどわされない

 会社には実力はそれほどでもないのに、人付き合いや社内政治がやたらと上手で、それによって出世したり、決定権のあるポジションに就いたりする人もたしかにいる。

 でも、自分のやりたいことを特定させずに、ときの権力者にすり寄る作戦は有効じゃない。

 なぜならときの権力者は社内政治の「駒」にすぎないことも多いからだ。

 実力不足の権力者は、社内事情が変わったら急に重要な人でなくなってしまう。

 だから安易な社内政治をするよりも、まずは自分の理想のキャリアを明らかにして、「自分に必要なものはなにか」「それができるチャンスを授けてくれる人は誰か」を見極めて、「正しい努力」ができる場所に自分を導く。

 そのほうが打算的な社内政治なんか抜きに、早く理想のキャリアに近づける。

すり寄る若手はかわいい!?

 一方、上司側はどうするべきか。

 どんな組織にも、損得のハカリを持って「得をしたい」と上司に近寄ってくる若手はいる。

 仲良くなってご飯に行きたい。できればおいしい仕事をもらいたい。

 でも、その打算をうまく隠されてしまったら、本音を見抜くことは難しい。

 僕は自分が人を見る目をぜんぜん信用していないから、部下が最低の人格、力量でも大丈夫な付き合い方をしている。

 先入観を持たず、誰に対しても丁寧でドライな接し方に徹する代わりに、基準を超えるいい仕事をしてくれたら、付き合いの長短や社内評判の善し悪しに関係なく評価すると決めている。

 上司が公平な加点主義を徹底すると、思惑はどうあれ、部下は力を発揮してくれる。

 だから若手に慕われたらもちろん嬉しいものだけど、盲目的に引き上げるより、まずは冷静・公正な目で仕事ぶりを見ることが大事じゃないかと僕は思う。

(本稿は佐久間宣行、『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』からの抜粋記事です。)