中国政府は3年前、暗号資産(仮想通貨)取引に対して包括的な規制を課した。それでも、チェン・シン氏のようなブローカーが多額の人民元を暗号資産に換金する手助けをするのを阻止できなかった。中国の地下金融システムの仲介者として働いていたチェン氏は、日常的に10万ドル(約1560万円)以上の現金を受け取り、国外の取引プラットフォームを使って暗号資産テザーと交換していた。現金の出どころについて客に詳しく尋ねないようにしていたが、その多くはクリーンなものではないと考えていた。「この金は汚い」。彼は後に政府の取り締まりの一環として行われた中国の裁判で、妻にそう言ったと証言した。チェン氏のようなトレーダーが中国の暗号資産取引を仲介する役割は、外部からはほとんど見えない。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が裁判記録と中国政府の通知を調査したところ、彼らがどのように活動しているか、そして政府の取り締まりにもかかわらず中国の暗号資産需要をどのようにあおっているかが明らかになった。