極寒のこの漁港に停泊し威容を誇るその軍艦は、北極海の防衛において北欧の小国デンマークが果たす役割を象徴するはずのものだ。ところが昨年、デンマーク海軍はきまりの悪い事実を認めた。哨戒艇の前部甲板に搭載された76ミリ砲は最近まで、ほぼ見せかけのものだった。この砲には約10年間、照準器がなかった。発射はできても、標的に命中させるのは困難だっただろう。デンマーク北極圏統合司令部の艦隊が持つ7隻の残りの艦船も誇れるようなものではなかった。グリーンランド沖を巡視する4隻の大型フリゲート艦は30年以上前のもので、頻繁に故障する。デンマークは維持費を削減するため、潜水艦を探知するソナーを撤去した。元デンマーク海軍司令官らは、多くの武器やセンサーが取り払われた結果、北大西洋条約機構(NATO)の基準で軍艦の定義には当てはまらないものもあるかもしれないと指摘する。
安保要衝グリーンランド、防衛は犬ぞりや老朽艦頼み
デンマークがグリーンランドに充てる国防費は長年抑制されてきた
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