軽自動車での事故は普通自動車よりも危険?“やっぱり”だけでは済まない調査結果【交通事故後の院内死亡率を検証】
普通車と軽自動車、どちらが安全?
人はそれぞれ、価格、燃費、デザイン、安全性などを基準に車を選ぶが、軽自動車は普通車と比べ、交通事故後の院内死亡率が上昇するという研究結果が報告された。また軽自動車では、頭頸部、胸部、腹部、骨盤および四肢に重度の外傷、重傷を負うリスクが高かったという。神戸大学大学院医学研究科外科系講座災害・救急医学分野の大野雄康氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に2月5日掲載された。
軽自動車は「ミニカー」とも呼ばれ、日本だけでなく海外での人気も高まっている。人気の理由の1つとして、車体のコンパクトさが挙げられるが、それは車内空間が狭まることも意味する。車内空間が狭くなると、衝突時の衝撃による変形に対して乗員がダイレクトに危険に晒されることになる。
しかしながら、車内空間の狭さが生存率の低下や、重度の外傷にあたえる影響については十分に検証されてこなかった。こうした背景から、大野氏らは過去に自動車事故で負傷・入院した患者を対象とした単施設の後ろ向きコホート研究を行った。主要評価項目は事故後の院内死亡率とした。
本研究の対象患者は、2002年1月1日~2023年12月31日の間に、太田西ノ内病院(福島県郡山市)にて受け入れた交通事故で負傷したすべての車両乗員とした。普通車と軽自動車以外の車両(自転車、オートバイ、大型トラックなど)に乗っていた外傷患者は除外し、5331名(普通車群2947名、軽自動車群2,384名)を対象に含めた。最終的に1対1の傾向スコア(PS)マッチングを行い、1947組を解析対象とした。