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地球温暖化は本当に人間が引き起こしているのか――。その疑念を世界中に広げたのが、「データ捏造の証拠が見つかった」という衝撃的な主張だった。きっかけは、イギリスの大学から流出した1通のメール。しかし、その後の調査では不正は確認されなかったにもかかわらず、専門家への不信と陰謀論は広がり続けた。なぜ人は専門家の説明より「疑惑」を信じてしまうのか。社会学者が、科学否定論が拡散する構造を読み解く。※本稿は、社会学者の松村一志『科学否定論はなぜ人をひきつけるのか』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
「下降傾向を隠すために…」
陰謀論に火をつけた流出メール
科学をめぐる陰謀論が広がった有名な例として、いわゆるクライメートゲート(気候ゲート)事件がある。「ゲート」という言葉は耳慣れないが、ウォーターゲート事件になぞらえて、陰謀を表現するときによく使われるものだ。
2009年、イギリスのイースト・アングリア大学の気候研究ユニット(CRU)のサーバーがハッキングされ、メールのやり取りや文書がインターネット上に流出した。そのメールには、気候変動の主な要因が人間活動にあるとする考え方(人為的気候変動)に反する事実の隠蔽を図っているように読める文面が含まれており、ありもしない気候変動をでっち上げているとの印象を与えるものだった。中でも、所長のフィル・ジョーンズからアメリカの気候科学者レイモンド・ブラッドレーに宛てたメールの文言が注目を集めた。







