米国は銀行業界のいわば中国のような存在だ。米国は製造業では輸入が輸出を上回っているかもしれないが、金融サービスという重要分野では大幅な貿易黒字を計上している。米商務省経済分析局のデータによると、金融サービスにおける米貿易黒字は2024年に約1300億ドル(約18兆3000億円)に達した。この一因は世界的な資金フローの偏りにあり、米企業がオフショアファンドを手掛けていることが影響している。他にも取引仲介や引き受け業務、合併・買収(M&A)アドバイザリーなどのサービスを通じた黒字額が、24年には合計100億ドル近くに上った。これは取引や資金調達アドバイザリーの世界的順位にも如実に表れており、2008年の金融危機以降、米銀が上位を占めるようになった。調査会社ディールロジックによると、24年の投資銀行収入は米銀が世界5位までを独占し、上位10行のうち7行が米銀だった。