ドナルド・トランプ米大統領は、目玉が飛び出るような高関税を課すことで、製造業を米国に戻したいと考えている。しかし、政権が見落としているのは米産業界の責任だ。米企業が方向転換できるかどうかは議論の余地がある。それをやろうとしたのがロナルド・レーガン大統領だ。レーガン政権は1980年代にさまざまな方法を用いて鉄鋼と自動車の輸入を制限し、手ごわい外国勢の猛攻撃にさらされていた国内メーカーに自らを改革するための時間を与えた。だが米国のメーカーは難局にうまく対処できず、惨敗した。筆者は米製造業衰退の最も重要な時期に、工業地帯を取材するウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記者としてその様子を目の当たりにした。