ドナルド・トランプ米大統領は自ら仕掛けた貿易戦争を徐々に後退させ続けており、市場はそれを歓迎し続けている。これが、米英両国が新たな貿易協定で合意したと8日に発表されたことの主な意味である。多くの詳細を詰める必要があるが、今回の合意によってトランプ氏は、4月2日の「解放の日」に発表した関税措置からまた後退したことになる。トランプ氏と彼の顧問らは発表当時、例外を設けないと約束していたが、市場は反乱を起こした。トランプ氏はその後、米国と世界を貿易戦争の淵から引き戻す取引(ディール)を行うため、中国を除く全ての国に対して90日間の猶予期間を与えた。英国との協定はその中で初めての取引であり、経済的にも政治的にも合理性がある。両国は多くの点で相性が良く、2国間貿易の多くはモノではなくサービスの取引だ。両国間の協定に関する交渉は第1次トランプ政権下で始まったため、既にある程度進展していた。米国は英国に対して貿易黒字となっており、これは世界の他の多くの国との関係とは異なる。キア・スターマー英首相も景気減速への対策として貿易協定を必要としている。