かつて「鉄のカーテン」の向こう側にあった東欧諸国は、ポルシェやアウディなどの自動車、さらには米国を代表するピックアップトラックの主要部品を生産する自動車産業の中心地へと変貌を遂げた。ところがこうした国々の経済モデルの脆弱(ぜいじゃく)性がドナルド・トランプ米大統領の貿易政策によって露呈し、経済成長や工場の雇用、生活水準が脅かされている。トランプ氏は4月、米国が輸入する自動車に25%の関税を課した。今月23日には欧州連合(EU)からの全輸入品に50%の関税を課すと警告したもののすぐに方針を変更し、発動期限を7月9日まで延長した。関税はすでに欧州の自動車部門に打撃を与えている。欧州の対米輸出の大部分はフォルクスワーゲン(VW)、BMW、メルセデス・ベンツグループといったドイツ自動車大手のブランドや、英国やイタリアの高級車などが占めている。