菊池寛がアルバイトにやらせていた「ある仕事」が、最強のコンテンツマーケティング術だった
文芸作品を読むのが苦手でも大丈夫……眠れなくなるほど面白い文豪42人の生き様。芥川龍之介、夏目漱石、太宰治、川端康成、三島由紀夫、与謝野晶子……誰もが知る文豪だけど、その作品を教科書以外で読んだことがある人は、少ないかもしれない。「あ、夏目漱石ね」なんて、名前は知っていても、実は作品を読んだことがないし、ざっくりとしたあらすじさえ語れない。そんな人に向けて、文芸評論に人生を捧げてきた「文豪」のスペシャリストが贈る、文芸作品が一気に身近になる書『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)。【性】【病気】【お金】【酒】【戦争】【死】をテーマに、文豪たちの知られざる“驚きの素顔”がわかる。ヘンで、エロくて、ダメだから、奥深い“やたら刺激的な生き様”を大公開!
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

大ヒット作『真珠夫人』作者
マルチな才能に驚愕
菊池寛のおすすめ著作
復讐に燃える高貴な令嬢の物語
◯『真珠夫人』(文春文庫)
『大阪毎日新聞』と『東京日日新聞』の2紙で同時連載されていた大衆長編小説。美しく高貴な令嬢・瑠璃子。彼女には愛する青年がいたものの、父の仇敵で船成金の壮田の卑劣な策略により、彼の後妻となることを余儀なくされます。
しかし、瑠璃子は決して体を許さず、壮田に復讐を誓います。「大正デモクラシー時代の新しい女」を体現したようなキャラクターとドラマチックな展開が人気を博し、連載は196回にわたりました。
小説を大量生産する画期的な仕事術
面白い小説を効率的に書く秘訣は、あらすじを採集させるアルバイト
菊池はアルバイトを雇い、「あらすじを集めさせる」仕事をやらせていたという逸話があります。英語やフランス語の小説を購入して、英文科出身の優秀な女性たちにその小説を読ませ、日本語で要約を書かせていました。
その要約をもとにして現代日本の話にまとめ、オリジナルの小説をつくるという手法をとっていたそうなのです。まるでベルトコンベア方式のように、小説を効率的に大量生産するやり方を発明したわけですね。