社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を紹介します。
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「五年日記」が持つ力
以前、私の講座の受講生がこう話してくれました。
「五年日記を書きながら、ずっと同じことを書いている自分に気づいたんです。このままでは今後も同じ毎日を過ごすだろうと思って、講座を受講しました」
過去の自分と今の自分を比較できる「五年日記」の力を知り、私も五年日記を書き始めました。
そして分かったのですが、五年日記は「積上型」の人に効果があります。
積上型とは、本書でも説明していますが、目標を設定せず、日々の選択を積み重ねて進化する人です。
「『やりたいこと』がない」、「『やりたいこと』がみつからない」と悩んでいる人は、実は、目標を設定しないほうがいい「積上型」であることも多いのです。
なぜ積上型の人は、成長を実感できないのか
積上型の人は、自分の進歩がわかりにくい傾向があります。
目標を設定して逆算する「逆算型」の人は、ゴールにどれだけ近づいたかで進歩を測れます。
一方、積上型の人は今に集中することが大切なため、過去も未来も見ない傾向があります。なので、前進していても、自分の成長に気づかないのです。
五年日記は、その成長を可視化してくれます。
去年やその前の年の同じ日に何を書いたかを見ることで、自分の変化に気づけます。
「去年はこれを考えてたんだ」「一昨年はこんなことで悩んでいたのか」「今年はこういうことができるようになっている」
こうした自分の進歩を実感できる瞬間は、積上型の人にとって貴重です。
もし3年間同じことを書き続けていたとしても、それに気づいたことが最初の変化です。
同じことを書き続けている事実に気づいたということは、自分を客観的に見られるようになったということ。
そして「これでいいのかな」と疑問を持つことが、変化を生み出します。
1ヶ月で、思考が変わる
こう書くと、今から書いても効果が発揮されるのは数年後かぁ…と気が遠くなるかもしれませんが、大丈夫です。
毎日5行ほど書くだけで、思考が進むのを感じます。
これまで見えていなかったことが見えたり、考えが及ばなかったことに気づいたり、もしくは同じことをぐるぐると考えていることに気がついたりと、自分を客観的に見ることができるようになります。
更に数日前の自分を見返すことで、日々の小さな前進を実感できます。
自分の進歩を感じられず焦っているなら、五年日記を始めてみませんか?
*本記事は、『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)の著者しずかみちこさんのメルマガから抜粋・編集したものです。




