会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーシップとはなんでしょうか?
責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めることでしょうか?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーのすべきことは「言語化」であると言います。
本記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「いま、リーダーに必要なスキル」についてご紹介します。

令和のリーダーは「言語化」が必須スキル
「うちの社長は何を言っているかわからない」
そんな愚痴を聞くケースがあります。
たしかに感覚的な経営者はいますね。組織のビジョンを示そうとはしていますが、明確になっていません。そこは明確にしてもらいたいところですが、「社長が考えていることがよくわからないから、自分たちは動けない」と結論付けてしまってはいけません。
ここはリーダーであるみなさんが、経営者のあいまいな指示を言語化し、メンバーに伝える橋渡しを担えるとベストです。
何をすれば経営者が掲げたゴール(ビジョン)を達成できるのか、それを言葉にするのがこれからのリーダーに求められる役目かもしれません。
「顧客満足度を高めよう」は言語化できていないフレーズ
たとえば、「顧客満足度を高めよう」というフレーズを今期の目標として掲げている組織もあるでしょう。ただ、このフレーズを掲げても、何をしたらいいかわからない。
何をすることで顧客満足度を高めることができるのか、メンバーが何をすればいいかがわからない。
また、そもそも「顧客満足度」が何を指すのかも具体的にはわかりませんね。顧客満足度を高めるといっても、すべて顧客の言いなりになることを目標としているわけではないはずです。顧客の言い値で売ろうとしているわけでもありませんね。
そんなことはわかりきっていると言われそうです。ですが一方で、「では顧客満足度とは? 顧客満足度を向上させるのに直結するアクションは?」と聞かれるとわからないんです。これでは自社のメンバーが何をすればいいのかがわかりませんね。
もちろんいろんなケースがあるでしょう。少なくともリーダーの頭の中には暫定案だとしても「これをやればいい」というイメージを持ちたいところです。
必要なのは「定義」
ここで必要なのが「定義」です。
リーダーは経営者が掲げたあいまいなゴールを定義することで、より明確にしていきます。たとえば、「顧客満足度を高める」はいろいろな解釈があり得ます。そこでこの言葉を定義します。
定義するとは、「達成に必要な条件を挙げる」ということです。
一般的に、「定義する=『○○とは、××のこと』、と言い換えること」と考えられていることが多いです。しかし、これは定義になりません。「いい仕事とは、登山のようなものである」「最高の飲食店とは、究極のエンターテイメントである」という表現を見てもわかるように、これは単なる比喩・言い換えです。別のキーワードで言い換えているだけで、中身を何も説明していません。
定義とは、「それが成立するための必要条件を挙げること」です。その仕事が「いい仕事」になるための条件(必要な要素)を挙げれば、「いい仕事」の定義をしたことになります。最高の飲食店になるための条件をリストアップすることが、最高の飲食店を定義することになります。