何という1週間だったのだろう。ロシアのものとみられるドローン(無人機)が欧州北部一帯の空の便を混乱させ、ロシアはウクライナに記録的な攻撃を加えた。中東では、戦闘と外交の両方が激しさを増した。そうした中でも、史上最も型破りで最も混沌(こんとん)を好む米大統領は引き続き、世界のニュースの見出しをにぎわすことができた。パレスチナ自治区ガザに関しては、ドナルド・トランプ米大統領は9月23日、ヨルダン川西岸のどの部分もイスラエルが併合することを許さないと、アラブ諸国の指導者たちに約束した。これは戦争終結を巡る難しい話し合いの新たな展望を開き、大規模な和平の取り組みに向けた地ならしとなった。ウクライナ問題では、トランプ氏は反ロシアの姿勢強化を示すシグナルを次々に送ったことで、ウクライナを勇気付け、欧州に課題を突き付けた。トランプ氏は、欧州に対ロ制裁の強化を要求するとともに、ウクライナによるロシア領内への攻撃に対する制限を撤廃して巡航ミサイル「トマホーク」のような強力な米国製兵器システムをウクライナに供与することに前向きな姿勢を示した。これによってトランプ氏は、少なくとも言葉の上ではウクライナ紛争に関して優位に立った。同氏は自身の政権の方針を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をおだてて歩み寄らせ、和平を実現しようとする以前の取り組みから転換させた。
【オピニオン】世界の筋書きを覆したトランプ氏
ウクライナとガザに関する外交的行動は見事で型破り
特集
あなたにおすすめ