【日本医療の宿痾“過剰診療”への処方箋】大阪の個人病院ドクターが語る「大多数の患者の薬は長期処方が可能」「医者にかかるのは年一回でいい」写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の医療保険財政が膨らむ背景として指摘されるのが“過剰診療”である。本来必要のない処置や検査を実施することで収益を確保している医療機関が少なくないという。この問題について筆者が取材した総合診療医・谷口恭氏は、「頼んでいない料理を次々出され、すべて請求されるようなものです」と嘆く。「受診も薬も最小限であれ」を貫く、個人病院の現場に迫った。※本稿は、東京新聞編集局編集委員の杉谷 剛『日本医師会の正体 なぜ医療費のムダは減らないのか』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。

処置をすればするほど
稼げる「出来高払い」

 経済協力開発機構(OECD)の2021年のデータで、日本の1人あたりの年間外来受診は11.1回で、15.7回の韓国に次いで2位、先進38カ国の平均は6回で、倍近い頻度となっている。

 さらに頻回診療と併せて医療費が膨らむ大きな要因として、日本の医療保険制度の特徴である「出来高払い」がある。

 診察や処置、検査などの医療行為ごとに点数を積み上げて請求する出来高払いは、処置や検査をすればするほど収益が上がるため、医師の過剰診療を招きやすく、医療費のムダを生みやすいという構造的な問題がある。

 病名や診療行為に応じて定額の医療費が支払われる「包括払い」なら、処置や検査を増やせばその分、利益が減るので、過剰な医療行為を抑制し、医療費のムダを生みにくい。

 その反面、必要な処置や検査を控える過少診療の恐れや、先進医療に消極的になるなどの懸念も指摘されている。

 そんな中、日本では数少ない、多くの疾患を診ることができる総合診療医で、「生活習慣病の場合、うちは患者さんの状態が安定していれば、薬の処方は3カ月に1度が基本です」という大阪の医師に会った。