アマゾン熱帯雨林の中心部で作業員たちが、地下鉄のトンネルほどの幅がある立て坑を地下約800メートルまで掘る準備を進めている。先住民の土地に挟まれた草地に眠っているのは、金でも石油でもない。肥料だ。この巨大な農業国にとって、肥料は金や石油と同じくらい貴重であるのはほぼ間違いない。世界的に貿易摩擦が激化する中、これまで米国が占めていた中国向け農産物輸出の大きな穴をブラジルが埋めている。中国がトランプ関税に対抗して米国産大豆を敬遠しているためだ。トランプ政権は今年、ブラジルに50%の関税を課した。これにより、世界的に優位なブラジルの農業が、貿易戦争を通じて中南米最大の経済を支えるという、大きな課題を背負うことになった。