来年はどうすれば、投資で成功できるのか? そこで今回は、『お金の大学』の両学長に推薦されたベストセラーTHE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビュー。親日家の著者が日本人へ熱く語る。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【大晦日SP】「支出への罪悪感」を払拭する新基準「0.01%ルール」とは?Photo: Adobe Stock

収入より「資産」に基づき支出すべき理由

【大晦日SP】「支出への罪悪感」を払拭する新基準「0.01%ルール」とは?ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)
Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した 『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。

――『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』にある「0.01%ルール」が非常に興味深いです。収入ではなく「資産」に基づいて支出すべきというメッセージを解説いただけますか。

ニック・マジューリ(以下、ニック)「0.01%ルール」の基本的な考え方は、「収入は資産よりはるかに不安定だ」ということです。

 日本ではアメリカほど顕著ではありませんが、アメリカではある日まで普通に収入があっても、突然仕事を失うことが珍しくありません。

 その意味で、収入より資産のほうが“持ち運び可能で安定的”なのです。

 もちろん、収入がゼロなら資産を切り崩すしかなく、「0.01%ルール」は推奨しません。

 しかし「いつ支出を増やしていいか」を判断する基準として、収入ではなく資産を見るほうが合理的です。

 資産は“金融的な規律”の結果だからです。

 宝くじに当たったり遺産を受け継いだりした人を除けば、資産を持っている人は皆、働き、貯蓄し、規律を守って資産を築いてきました。

 だからこそ資産を保有していること自体が、「私は努力し貯めてきた」という証明なのです。

新ルール「0.01%ルール」とは?

 そこで私は言いたいのです。

あなたは資産を築いた。だから、少し自由を持ってもいい」と。

 では、その自由とはどれだけか?

 それが、資産の0.01%を1日に使っていい」という新ルールです。

 もちろん「毎日0.01%使え」と言っているわけではありません。
 でも、その額を使っても資産は長期的に減らないという目安になります。

 このルールに従えば、使いすぎる可能性は低くなります。
 もし支出が多くなって資産が減り始めれば、使える額(0.01%)も自然に減ります。

 逆に資産が増えれば、使える額も増える。
 つまり、資産の変化に合わせて支出が自動的に調整される仕組みです。

 さらに、「もし何かを買おうか迷っているとして、それがあなたの純資産の0.01%以下なら、もう悩む必要はない。買いなさい」と言いたい。

 そんな小さな支出でストレスをためるべきではありませんし、もし0.01%を超える金額なら、一度立ち止まって考え直すべきかもしれません。

「支出への罪悪感」を払拭せよ

 アメリカでは“支出への罪悪感”が非常に蔓延していて、明らかに行きすぎています。だからこのルールをつくり、そこから多くの人を自由にしたかったのです。

――日本人は平均的にアメリカ人よりはるかに消費を抑える傾向にあります。日本人はこの「もっと使う」という原則にどう適応すべきでしょうか。

ニック それは本当に人それぞれの目標によります。
 ただ、日本には「もう少し使ってもいい」余地がある人が、実際にかなり多いと思います。

 もちろん、まったく資産がない場合――貯蓄ゼロ、純資産ゼロ――そんな人に「もっと使え」とは言いません。

 しかし、しっかり貯蓄し、資産を築き、安定していて、経済的にも安心できる状況にあるなら、望むのであれば少し多めに使うことは可能です。

 ただし、“自分が心地よくないなら無理に使う必要はない”
 これも強調したい点です。

 このルールは、たとえば、
0.01%を毎日ではなく週1回だけ使う
 という方法でもいいと思います。

 週1回スーパーに行き、
「いつもはこの商品を買うけど、少し高いほうを買ってみようかな?」
 と考える。

 その差額が100円でも500円でも、あなたの純資産の0.01%以内なら問題なし、むしろ肯定されるべき支出です。

 もし500円があなたの純資産の0.01%未満なら、ええ、使ってください。
 心配する必要はありません。これが私の考え方です。

(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)