物価の値上がりが深刻だ。さらに実質賃金は減少し続けている。そんな中、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書」と絶賛されているのが『JUST KEEP BUYING』(ニック・マジューリ著)だ。そしてこのたび待望の続編『THE WEALTH LADDER 富の階段(ウェルス・ラダー)』が日本上陸。スコット・ギャロウェイも絶賛する『ウェルス・ラダー』についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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節約しているのに
貯金が増えない理由
毎月の支出を細かくチェックし、外食を控え、コンビニには極力立ち寄らない。
スーパーでは特売品を狙い、ポイントカードは漏れなく提示する。
節約術の本やYouTubeで学んだ知識を実践し、家計簿アプリで支出を管理している。
無駄遣いしているつもりはない。
むしろ、かなり我慢しているほうだと思う。
なのに、貯金はほとんど増えない。
予想外の出費があると、またゼロに戻ってしまう。
こんな悪循環に陥っている人は、決して少なくない。
世界的ベストセラーの教え
世界的ベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段』の著者ニック・マジューリはこう述べている。
ファイナンスの専門家は、お金を貯めるために「支出を減らしましょう」とアドバイスする。残念ながら、これはレベル1(資産1万ドル未満)のほとんどの人には役に立たない。
――『THE WEALTH LADDER 富の階段』(P.136)より
多くの人が信じている「節約すれば貯まる」という常識は、実は収入が少ない段階ではうまく機能しない。
なぜなら、削減できる支出がそもそも存在しないからだ。
本書によると、アメリカの低所得層は所得の100%以上を生活費に充てており、
借金をしたり、親族からの援助に頼ったりせざるをえない状況だという。
収入のほとんどが生活費で消え、手元に残らない。
つまり、このレベルにいる人にとって、真の問題は支出ではなく収入なのだ。
お金が貯まらない人ランキング、1位は?
お金が貯まらない人ランキングの2位は「節約が美徳だと思う人」。
限られた収入の中で、削れる支出を必死に探し続けてしまう。
悪いことではないが、これではいずれ疲弊する。
そして、1位は「今の給料で我慢するしかないとあきらめている人」だ。
「自分にはスキルがない」
「今の会社では昇給は望めない」
こうした思考にとらわれ、収入を増やす可能性を最初からあきらめてしまう。
節約に励む一方で、収入を増やすためのアクションは何も取らない。
これではいつまで経っても状況は改善しない。
本書を読んで気づいたのは、削るべきは支出ではなく、
収入の少なさに向き合わない「自分自身の思考」だということ。
収入が少ない段階では、節約だけでは「富の階段」は登れない。
節約の努力を収入アップに向けた瞬間、「富の階段」は初めて見えてくる。
これからは収入を増やす戦略に時間とエネルギーを使っていこう。
その決断が、5年後、10年後の人生を決めるのである。
(本稿は、『THE WEALTH LADDER 富の階段』に関する特別投稿です。)










