Jリートとは日本の不動産に投資する上場投資信託のこと。高い分配金利回りが魅力的な商品だ。2025年12月時点の市場平均利回りは4%を超える。しかも2025年は「値上がり益もゲットできる商品」として注目された。東証リート指数のチャートは2025年年始から上昇トレンドを描き、11月に約3年ぶりの2000ポイントに到達! 力強い上昇の背景には何があったのか、2026年もこの勢いを続くのかを、Jリートのプロ5人が分析。専門家ならではJリートの目の付け所も紹介する。(朝日希新、ダイヤモンド・ザイ編集部)

Jリート2000ポイント回復の舞台裏!
2026年は個別銘柄を選別する時代へ

 2025年の東証リート指数は、1600ポイント台から始まり11月には2000ポイント台に到達。振り返ってみれば、非常に好調な1年だった。この上昇の理由は何だったのか。Jリートのプロ5人に話を聞いた。

「日本の不動産売買市場が堅調だったことに加えて、賃貸市場が非常に好調だったことが挙げられます。特にオフィスの空室率低下と賃料上昇はめざましかった」と語るのは、三井住友トラスト・アセットマネジメントの栗原重光さんだ。

「米国が利下げに転じ、日本国内の金利もそれほど上がらない、と見通されていたことも、Jリートの上昇を支えました」

 栗原さんが指摘する“オフィスの空室率低下や賃料上昇の背景”について、中銀アセットマネジメントの杉山知彌さんは次のように語る。

「確かに、良い人材を確保するために、好立地で高スペックなオフィスの需要が増えました。あとは、分譲マンションがあまりにも高くなってしまったため、賃貸住宅の引き合いも強かったことが印象的です。インバウンドの追い風が吹き、ホテルの宿泊費がどんどん上がっていったのも、Jリート市場にプラスに働きました」

 一方、三井住友DSアセットマネジメントの倉島克彦さんは、Jリートの注目度アップにつながるような出来事が多かったとして、次のような点を挙げる。

「まず、2025年年始の海外アクティビストによるJリート銘柄のTOB(株式公開買い付け)です。これをきっかけに、NAV倍率(*)1倍割れのJリートの割安感が強く意識されるようになりました。次に4月の関税ショック。トランプ関税に株式市場が振り回される中、内需系のJリートを投資先として検討する流れが生まれたように感じます」

 さらに別の注目点として、東海東京インテリジェンス・ラボの中村貴司さんは「プラチナNISA(高齢者向けNISA)」の検討報道を指摘する。

「毎月分配型の投資信託が対象商品に入れば、Jリートを組み入れた毎月分配型の投信を通じて、市場へ新たな資金が流入することが期待されています。仮に毎月分配型の投信が対象外となったとしても、高齢者向けのNISA制度が整うことで、高い利回りを誇るJリート投信への資金流入が見込まれます。また、6月には金融庁がデータセンター設備を不動産とみなす方針を示しました。中長期的な成長を期待できる新たな投資対象としても注目です」

 匿名を条件に取材に応じてくれた西日本のある機関投資家Mさんは、自らJリートの取材やIR(事業内容や財務状況の説明)を受ける中で“気づき”があったと言う。 

「分配金の源泉となる賃料上昇に勢いを感じました。不動産売買は活況ですが、不動産価格上昇の影響で現物の取得はなかなか難しくなっています。そんな中、賃料上昇分を分配金にしっかり反映しているJリートは、市場でも評価されていると感じています。また、値動きが株ほど大きくないという点でも、2025年はJリートに投資しやすい環境だったと思います」

 つまり、2025年は賃貸市場の活況に加え、割安感の是正や新たな資金流入への期待が、Jリートの注目度を高めたということだ。特に好調を支えたのは、オフィス、住宅、ホテルといったセクターだ。

 ではこれらのセクターは2026年も引き続き、指数の牽引役となるのだろうか。

 「オフィスはJリートの40%近くを占めており、オフィスが沈めばJリート全体に影響が及びます。なので、2026年もオフィスがどれだけ市場の期待に応えられるかが重要です」と倉島さんは解説。

 それに対して杉山さんは、「2026年も引き続き、オフィスが牽引役となることを期待」と話す。ただし、杉山さんはこのようなことも指摘する。

「どのセクターが良い悪い、というよりも、各セクター内で優劣がついてくるのではないかと。例えばオフィスセクター内では、今後も賃料値上げの余地がある銘柄を選好する動きが出てくるのではないでしょうか」

 杉山さんの“セクターより個別”という指摘に、栗原さんも同意する。

「セクターではなく、個別銘柄の『分配金の成長率』を見て投資判断をしています。分配金の成長率は賃料上昇などの『内部成長』と、物件取得や物件の入替(売却と新規取得)などの『外部成長』の2つによって支えられています。2026年もこの2つの側面から、有望な個別銘柄を探していくことになるでしょう」

(*)株のPBRのように、割安度を測る指標。保有不動産の時価から負債を引いた実質的な価値。1倍未満が割安の目安。