NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で、大河初出演で初の時代劇に挑戦した福原遥。花魁・誰袖役が話題となった。今度は、世代を超えて愛されるスピッツの名曲を映画化したラブストーリー『楓』で、福士蒼汰とW主演を務める。再び切ないヒロイン役に挑む本作は、「さよなら 君の声を抱いて歩いていく」の歌詞がより心に深く響く、喪失と再生の物語だ。監督は『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲。(撮影:千倉志野 取材・文:高山亜紀)
複雑なヒロインの心情を深掘り
応援したくなる“人間味”を大切に
「みんなから愛されているスピッツさんの曲は、私も昔からたくさん聞かせていただいていたので、お話をいただいた時はとてもうれしかったです。特に『楓』は自分が生まれた年(1998年)にリリースされた曲ですから、すごく運命を感じて、ぜひ、参加したいと思いました」
福原 遥●埼玉県出身。2009年、NHK Eテレ『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』で話題に。2024年、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。出演映画『正直不動産』が2026年公開予定。ヘアメイク:丹澤由梨子 スタイリスト:川崎加織
共通の趣味を持ち、幸せに暮らしている須永恵(福士)と恋人の木下亜子(福原)。だが実際には恵ではなく、彼のふりをしている双子の兄・涼だった。恵は1カ月前、事故に遭い、亡くなっていた。ショックで混乱した亜子が恵だと思い込んでしまったため、涼は本当のことを言い出せずにいた。
「過去と現在を行ったり来たりするストーリー展開です。亜子には秘密があり、序盤は彼女の本当の心情が見えないので、そこを埋める作業が難しかったです。実際にこういう状況になってみるとどうなのか。そこは亜子にしかわからないので、どんどん深掘りして、彼女のことを理解していきました。監督は『亜子にはずるいところもある。人間味のあるキャラクターにしたい』とおっしゃっていたので、人間らしさを持たせつつ、観てくださる方が登場人物それぞれを応援したくなるようなキャラクターにできるよう、話し合いながら撮影を進めていきました」
福士にとっては『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』以来、9年ぶりとなる恋愛映画。福原との恋人役は今回が初めてだ。
「福士さんは私が学生の時からご活躍されていて、たくさんの作品を拝見していました。 今回、役や作品について、いろいろお話ししながら撮影させていただきました」
「楓」の花言葉である“大切な思い出”や“美しい変化”、そして“遠慮”がキーワードになっている。
「『楓』という曲は聴いた人それぞれが、いろんな受け取り方をできると思います。この作品も見終わった後にそれぞれが異なる感想を持ったり、メッセージを受け取ったりするんだろうな、と。大切な人を失ってしまうつらさや切なさなど、本当にリアルな人間模様が描かれています。ここまで人を思えるってあらためて、素敵なことですよね」







