元フィデリティ投信の投資調査部長を務めた著者であるポール・サイさんが「S&P500」の3倍超という驚異的なリターンを生んだ米国株の投資術を初公開! ポール・サイさんが株価低迷期にエヌビディアを買い、成長を見抜けたのは、企業に潜む“成長のストーリー”を見抜いたから。初の著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』では、そんな、成長ストーリーの読み解き方から、銘柄選びの極意、買いのタイミング、暴落時の対処法、リスク管理までを体系的に解説。さらに、厳選した“10倍株”候補の8銘柄も特別公開! 新NISAで投資を始めた人、日本株から米国株へとステップアップしたい人に最適な、“米国株で勝つための決定版”だ。今回は、その『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』から、長期投資による複利の力がスゴイ理由を抜粋し解説する。

短期売買より長期投資! 複利の力で資産は雪だるま式に増えるPhoto: Anca/Adobe Stock

「複利の力」はスゴい!
短期投資より長期投資がオススメ

 株式投資で短期売買の方が得意という人も中にはいることでしょう。けれど、総じて見れば、個人投資家は株式市場への短期売買で負ける確率が高くなる傾向があると言われており、私もその通りだと思います。

 私は株式投資では、長期投資向きの「優れた会社」を選んだうえで、長期投資を行うことを強くおススメします。

 投資の世界では、「複利の力」という言葉がよく使われます。
 この概念は、投資の利益が時間とともに雪だるま式に増加することを意味します。しかし、この効果を最大限に引き出すためには、最初から最後まで市場に投資し続けることが重要です。

 短期的な変動や不安に惑わされず、長期的な視野で投資を継続することこそが、複利の果実を享受するカギとなります。

 そのためにはまず、「複利の力」を理解することが重要です。

 複利とは、利益がさらに利益を生む現象であり、元本と利息の両方を投資するため、時間が経つにつれて投資額が急速に増加していくことを意味します。

複利と単利では
利益がぜんぜん違ってくる!

 たとえば、年利5%、満期まで1年の債券に100万円投資するとします。1年後には5万円の利子が得られ、最初の100万円は105万円になります(説明のための仮の例ですので、税金などは考慮していません)。

 この105万円を再度、この債券に投資すれば、翌年は110万2500円になります。これを10年間繰り返すと、最初の100万円は162万8895円に増え、約63万円の利益が得られる計算になります。

 一方で、利息の5万円を再投資せず、懐に入れてしまえば、10年で得られる利益は50万円にとどまります。この50万円と約63万円の差が「複利の力」なのです。

株を持ち続けることで
「複利効果」は得られる!

 株の場合も、長期的に持ち続けることで、「複利効果」を得られます。株で複利効果というと、「配当再投資」を思い浮かべる人がいるかもしれません。

 確かに配当を出す株であれば、その配当を再び同じ株に投資することが可能です。しかし、配当再投資だけが複利効果を生む方法ではありません。その株が配当を出していなかったとしても、長期投資をしていれば、複利効果は得られるのです。

 配当を出す株の場合、配当をもらう権利日を通過すれば、その翌営業日の理論的な株価は配当分だけ下がります(株価はさまざまな理由で変動しますので、配当をもらう権利日の翌営業日の株価は、正確に配当の分だけ下がるとは限りません)。

 ですから、配当再投資とは、配当をもらうことで下がった分の投資額をまた元に戻すような行為に近いといえます。また、通常は配当には税金がかかるため、再投資できる金額はその分、減ってしまいます。

 そう考えれば、配当がない株でも、単に長期でずっと持ち続けることによって、実質的な複利効果が得られると理解しやすいでしょう。

※本稿は『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。