中国の台湾侵攻が日本の問題となる理由Photo:Anadolu/gettyimages

 日本の高市早苗首相は昨年11月、中国が台湾占領の動きを見せれば、日本は軍事的対応を取る可能性があると示唆した。中国政府は 怒りの声明 と爆撃機による示威行動という形でこれに応じた。日本は台湾問題に首を突っ込むな、というメッセージだった。

 しかし経済的・地政学的な現実として、もし中国が台湾海峡を超えて攻め込めば、日本とその最大の同盟国である米国の国益にとって重大な脅威となる。台湾は民主的に統治された島であり、海上交通の要衝に位置している。

 世界貿易の大部分が南シナ海と東シナ海を通航し、台湾周辺にはバシー海峡のような交通の要所がひしめいている。

 台湾制圧に成功すれば、中国はこの地域の戦略的な水路を支配下に置き、軍事的な影響力を太平洋にまで拡大し、海域や陸地の領有権主張をより積極的に追求できるようになる。

 「仮に台湾が中国の手に落ちれば、アジアのパワーバランスは決定的に中国有利に傾くだろう」。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のロバート・ウォード日本部長はこう述べた。

 中国の海側を見ると、現在は「ある意味、(敵に)取り囲まれている」。ウォード氏は第1列島線についてこう述べた。第1列島線とは、中国東海岸沖にある列島の連なりを指し、主に米国のパートナー国である日本、台湾、フィリピンで構成されている。中国が「それを突破して外洋に出たいのは明らかだ」。

 紛争になれば、台湾の運命は 日米安全保障同盟 と直ちに絡み合うことになる。台湾が全面攻撃を撃退するためには、 主要な防衛パートナー である米国の戦闘参加が必要になる。米軍が戦闘を効果的に行うためには、日本の存在が必要になる。

 米国が中台衝突時に直接介入するかどうかは不明だ。米政府は中国に手の内を明かさないように、いわゆる「戦略的曖昧さ」の政策を続けている。

 地理的条件は日本に特有の課題を突きつける。日本の南西部で琉球諸島が弧を描き、台湾のすぐ手前まで続く。東京から1900キロ以上離れた与那国島は、台湾からわずか約111キロの距離にある。