トランプ氏「西半球支配」、友好国は戦慄・敵対国は当惑トランプ氏は米国がグリーンランドを領有するという要求を一段と強めている
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 ドナルド・トランプ米大統領は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束し、同国は今や米国が「運営」していると主張することで、新たな「モンロー主義」、いわゆる「 ドンロー主義 」を高らかに宣言し、西半球全体に対する米国の覇権確立を目指す姿勢を鮮明にした。

 米軍によるベネズエラの首都 カラカス急襲 を受け、米国の敵対国と同盟・友好国が自問しているのは、トランプ氏がこの19世紀型の帝国主義的思考を採用したことは、米国が世界の他の地域から西半球に軸足を移すことを意味し、中国とロシアはそれぞれの周辺地域に対してより大きな影響力を行使できるようになるのか、という点だ。

 ドイツ連邦議会(下院)のノルベルト・レットゲン議員は「トランプ氏が実現しようとしているのは世界支配ではなく半球支配だ」と言う。「彼の世界観は、世界をいくつかの『勢力圏』というカテゴリーで捉える考え方のようだ。他の半球でも、その圏内で最も強大な力を持つ者が支配権を握り、そこではルールや法律、同盟関係などは二の次、という理屈だ」

今月3日のベネズエラでの作戦 の成功に勢いづいたトランプ氏は、キューバ、コロンビア、メキシコ、デンマーク自治領グリーンランド、そして米州以外ではイランに米国が介入する可能性をすでに示唆している。

 マドゥロ政権に何百億ドルもの資金と相当な外交資本を投じてきた中国とロシアは、今のところ抑制的な反応にとどめている。これは、両国が欧州とアジアで抱く野心に対して、米国が今後意図的に、あるいは米国資源の本質的な限界のために、より寛容になることを期待している面もある。

「中国政府は、『大国による勢力圏』という考え方にトランプ氏が傾いていることに強い関心を寄せている」。東アジアを拠点とするシンクタンク、カーネギー・チャイナで上級研究員を務める趙通氏はそう語る。中国が「米州を勢力圏とする米国」に対してより大きな敬意を示した場合、米国には西太平洋に関して大きな妥協(台湾・南シナ海問題などでの妥協)に応じるつもりがあるのかを探ろうとしているという。