「あまり考えていない上司」ほど部下に連発する“浅い言葉”とは?
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。
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「あまり考えていない上司」ほど部下に連発する“浅い言葉”がある
会社などの組織であれば、上司から部下へのフィードバックはとても大事だ。部下の成長や活躍に直結するからだ。
しかし、「あまり考えていない上司」ほど部下へのフィードバックで連発する“浅い言葉”がある
「あまり考えていない上司」ほど部下に「リーダーシップ」と言う
「あまり考えていない上司」ほど部下へのフィードバックで「リーダーシップ」と言う。たとえば、次のような言葉だ。
「もう少しリーダーシップがあるといいね」
このように「リーダーシップ」という言葉は、なにか「ビジネスパーソンとして、大事そうなもの」として、それっぽく伝わる。
しかし、このような「リーダーシップ」という言葉を用いたフィードバックの問題点は、多くのケースで部下の成長に直結しないことだ。すなわち、それっぽいフィードバックだが、多くのケースで意味がないのだ。
「リーダーシップ」と言われても「定義」がわからない
「リーダーシップ」という言葉を用いた部下へのフィードバックの一番の問題は、「リーダーシップ」はそれっぽい言葉だが、そう言われても相手にその定義がわからないことだ。
たとえば先ほどの「もう少しリーダーシップがあるといいね」というフィードバックをもらったとして、では、次の半年間でなにができたら「リーダーシップがある」ということになるのだろうか。
「リーダーシップ」とは、なにかのプロジェクトなどのリーダーを務めるなどの役割の話だろうか。それとも、積極的に企画したり動いたりするなどの行動の話だろうか。それとも、困難な挑戦でも前向きであるなどの態度の話だろうか。それとも、まわりのメンバーを引っ張るなどのまわりへの影響の話だろうか。それとも、それらの全部だろうか。そして、それらの全部だとしたときに、それは「仕事ができる人になれ」と漠然と当たり前のことを中身なく言っているだけだったりしないだろうか。
このように、「リーダーシップ」は多義的で定義が曖昧で、それを求められた部下はなにをやるとそれが達成でき、そのために明日から具体的になにをやればよいのかわからず、多くのケースでそう言われてもなにも成長につながらないのだ。
「あまり考えていない上司」が「リーダーシップ」と言う理由
こうして、「リーダーシップ」という言葉はそれっぽいのだが、本当にそれっぽいだけで、中身が詰まっていなくても使える便利な言葉になっている。このため、部下へのフィードバックの中身を具体的に「あまり考えていない上司」でも、困ったら「もう少しリーダーシップがあるといいね」とそれっぽくフィードバックできてしまう。
しかし、そうとだけ言われた部下は、具体的にどうしたらよいかわからない。結局はその人のフィードバックがなにも成長につながらないことがわかっていき、部下からも「あまり考えていない上司」と思われていったりする。
「リーダーシップ」を自分なりに「定義」してフィードバックしよう
部下へのフィードバックでは、「リーダーシップ」という言葉を自分なりに「定義」してフィードバックするとよい。たとえば、次のように定義する。
「リーダーシップとは、チームやプロジェクトの責任者を務め、そのチームやプロジェクトの全体で結果を出すことである」
このような定義を「リーダーシップ」という言葉を使った後に添えてもよいし、もしこう定義するのであれば、そもそも、もう「リーダーシップ」という言葉を使わなくてもよい。部下には次のようにフィードバックする。
「次の下半期は、責任者として1つよいのでプロジェクトを企画して立ち上げて、まわりのメンバーを巻き込み、そこで結果を出して欲しい」
こうフィードバックされれば、社内にどんな課題があり、それに向けてどんなことを検討する必要があり、そのためにどんな人たちを巻き込む必要があり、そこでどんな結果を出すべきかを今日や明日から考えられるだろう。そして、それは結果が出るにしても出ないにしても本人の成長につながるだろう。
「定義」をする人は「しっかり考える人」と思われる
ここで大事なのは、「定義」には絶対的な正解はないことだ。
「リーダーシップ」を、まわりへの影響力と定義してもよいし、自分なりの定義でもよい。大事なのは、それを相手に伝えて、相手と定義を揃え、相手が行動できるように理解してもらうことだ。「定義」をするためには、しっかりと考えなくてはいけない。だからこそ、曖昧なそれっぽいが中身が詰まっていない言葉を使う人は「あまり考えていない」と思われるし、定義して理解を具体的に揃えようとしてくれる人は「しっかりと考えてくれている人」と思われるのだ。
たかが定義、されど定義。言葉の定義次第で、フィードバックが生きたり死んだり、部下の成長が変わったりもするのだ。
(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)









