◆プロの「弱点」を突け! 機関投資家が手を出せない“歪み”こそが個人のドル箱だ
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックスの元トレーダーが教える】勝ち続ける個人投資家は「プロの真似」ではなく、どう「市場のバグ」を利益に変える?Photo: Adobe Stock

教科書通りの「不可能」を覆す人々

効率的市場仮説を前提とするならば、将来の株価を予測して超過リターンを上げることは困難ということになります。しかし、現実はそうではありません。

短中期の投資で利益を上げている投資家はたくさんいるのです。

200兆円運用の現場が教える「勝てる側」の存在

私がゴールドマン・サックスを退職して個人投資家となり、その後、世界最大級の機関投資家として200兆円超もの巨額資産を保有する「ゆうちょ銀行」で運用の旗振り役を務めるなかで、500以上のファンドのファウンダーと話す機会がありました。

そこで知ったのが、一部のファンドは継続的に高収益を上げている事実でした。

「運」だけでは説明がつかない驚異のパフォーマンス

市場が完全に効率的であれば、このような成果は出せないはずですが、例えば著名なヘッジファンドの米ルネサンス・テクノロジーズは年率20~30%で利益を上げ続けており、日本でも中小型株に注目して年率10%ペースで長年にわたり利益を上げ続けているファンドマネージャーがいます。

また、腕利きの個人投資家が、株式市場で50億円とか100億円といった資産を築いている例もあります。

【解説】効率的なのは「ほとんど」であって「全て」ではない

「例外」が存在するという事実は、私たちに重要な示唆を与えてくれます。それは、「市場は『基本的には』効率的だが、『完全には』効率的ではない」ということです。

もし市場が常に完璧なら、ルネサンス・テクノロジーズのような異次元のリターンも、億単位の資産を築く個人投資家も存在し得ないはずです。彼らが勝っているのは、市場の価格形成メカニズムが一時的にバグを起こしたり、特定の銘柄が放置されたりしている「非効率な瞬間(歪み)」を見逃さず、そこを的確に突いているからに他なりません。

勝ち続ける人だけが持つ「エッジ」というカギ

この「市場の歪み」を自分自身の利益に変える力のことを、投資の世界では「エッジ(優位性)」と呼びます。継続的に勝っている投資家たちは、なんとなく株を買っているわけではありません。

「このパターンが出た時は、統計的に上がる確率が高い」「この中小型株は、機関投資家が参入できない規模だから割安で放置されている」といった、自分なりの根拠(エッジ)を持っています。

逆に言えば、エッジを持たずに市場に参加することは、プロたちがひしめく戦場で丸腰のまま戦うようなものです。

あなたの「戦う場所」はどこにあるか

もちろん、数百兆円を動かす機関投資家や、スーパーコンピューターを駆使するヘッジファンドと、真正面から同じ土俵で戦う必要はありません。彼らには「巨額すぎて小回りが利かない」という弱点もあります。

私たち個人投資家が学ぶべきは、彼らの真似をすることではなく、「市場のどこに非効率性(歪み)が落ちているか」を知り、そこに対して自分の強みをどう活かすかを考えることです。市場平均(インデックス)に勝つための第一歩は、まず「市場は完全ではない」と知り、そこにあるチャンスを探す視点を持つことから始まります。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。