まさにこうした事態に備えて建設された2本のパイプラインーーサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)にそれぞれ1本ずつーーは、ホルムズ海峡を迂回(うかい)し、ペルシャ湾から世界市場へ大量の石油を輸送する唯一の手段となっている。この2本のパイプラインはタンカーによる輸送量を代替することはできないが、さらに深刻な危機の発生を防いでいるほぼ唯一の存在だ。特にサウジは、1980年代初めにイラン・イラク戦争でペルシャ湾の海上輸送が脅かされた際に建設された、紅海のヤンブー港へのパイプラインを通じて、可能な限り多くの原油を輸送している。サウジの国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は10日、「過去にも混乱はあったが、今回は中東地域の石油・ガス産業がこれまで直面した中で最大の危機だ」と語った。