◆「月◯万円稼ぐ」は絶対NG! 株を数字にしてしまう素人が落ちるワナ
「人生詰んだ」と絶望する40歳、小遣い月1万5000円のしがないサラリーマン。重いローンと教育費、冷え切った家庭に居場所を失った彼が拾ったのは、89歳の現役トレーダー・シゲルさんの古びた手帳だった。投資歴70年“投資の神様”から授かる、お金と人生を劇的に変える究極の授業。“小説形式”でスラスラ読めてドンドンわかる話題の書『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』から、どん底からの逆転劇の投資ノウハウを凝縮して解説する。
写真:川瀬典子
陥りやすい罠とそれを防ぐノウハウ
ある初心者の個人投資家が残した、こんな切ない独白があります。
「僕は、自動車が好きだった。エンジンのうなり、ステアリングに伝わる路面の感触、ボディに映る夕日。それが好きでたまらなかった。けれど――。
その『好き』を仕事にした途端、輝きは鈍りはじめた。好きだったはずの車は、数字とノルマに追われる毎日のなかで、ただの『商品』になってしまった。それに追い打ちをかけるように、成果も出ない。
このままでいいのか? そんな問いの答えは、とうの昔にわかっていた。いいはずがない。じゃあどうすればいいのか……何度も考えた。でも、答えはいつも霧のなかだった」
このエピソードは、仕事における葛藤を描いたものですが、実は個人投資家としても、非常に深い教訓(陥りやすい罠とそれを防ぐノウハウ)を含んでいます。
投資対象が単なる「数字の羅列」に変わる罠
投資を始める際、自分が好きな製品を作っている企業や、よく利用する身近なサービスを提供する企業(応援したい企業)の株を買う人は多いでしょう。最初は「この会社の未来に期待しよう」という純粋な気持ちでスタートしたはずです。
しかし、相場に自分のお金を投じ、日々の値動きを追うようになると、心理状態に変化が訪れます。株価の上下に一喜一憂し、「今月はいくら稼ぎたい」といった無意識の「ノルマ」を課してしまうのです。すると、愛する車がただの「商品」になってしまったように、応援していたはずの企業が、単なる「赤と緑の数字(株価チャート)」や「利益を出すための道具」にしか見えなくなってしまいます。
焦りとノルマが「投資の成果」を遠ざける
投資において最も危険なのは、この「ノルマと焦り」です。「毎日◯円稼ぎたい」「早く損失を取り戻さなければ」といったプレッシャーは、投資家の視野を極端に狭くします。
企業の本来の価値や長期的な成長性(先ほどの個人投資家にとってのエンジンのうなりや路面の感触のような、その企業の本質的な魅力)を見失い、目先の小さな値動きに飛びついては失敗を繰り返すことになりかねません。「成果も出ない」と苦しんだように、投資も心に余裕がなくなり、対象への敬意や興味を失った状態では、なかなか勝つことができないのです。
個人投資家が「純粋な視点」を保つためのノウハウ
では、このような霧の中に迷い込まないためにはどうすればよいのでしょうか? 専業ではない個人投資家だからこそできる、以下のような距離感の保ち方が有効です。
●利益の「期間ノルマ」を捨てる: 相場は自分の都合(給料日や支払い日)に合わせて動いてはくれません。「月◯万円稼ぐ」といった目標を手放し、良い条件が揃った時だけ市場に参加する余裕を持ちましょう。
●企業の「ストーリー」を定期的に見直す: 株価が下がって不安になったり、ただの数字に見えてきたりした時こそ、株価チャートから目を離します。「なぜこの会社を買ったのか」「この会社のサービスは世の中をどう良くしているのか」という事業の本質的な価値を振り返る時間を作ってください。
●「仕事」にしないという強みを知る: 本業からの安定した収入がある兼業投資家は、無理に毎日トレードをする必要がありません。投資を重苦しい「仕事」にせず、経済への知的好奇心や「好き」をベースにした長期投資のメリットを最大限に活かしましょう。
投資の本来の目的は、資産を増やして人生を豊かにすることであり、心をすり減らすことではありません。もし相場に行き詰まりを感じたら、一度立ち止まり、最初の純粋な視点を取り戻す勇気を持つことが大切です。
※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)をもとに編集したものです。











