◆どん底で限界まで追い詰められた人へ…精神科医が「今は動くな」と語る深い理由
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】やりたいことが見えない人のNG行動ワースト1Photo: Adobe Stock

日常の「小さな決断」と
人生の「大きな決断」のギャップ

自分のことがよくわからず、人生の大きな決断に迷うというケースは少なくありません。周囲の言葉に流されたり、親の期待に応えようとしてきたりした結果、「自分が本当にどうしたいのか」が見えなくなってしまうのです。

「今日は何を食べるか」「どこへ行くか」といった日常の小さな決定を自分で下すことは、自分の気持ちを明確にし、自分軸を育てるための良い練習になります。しかし、日々の些細な選択ははっきりとできても、仕事や今後の人生といった大きな枠組みになると、途端にどうしていいかわからなくなることがあります。

日常の決断と、人生を左右する大きな決断とでは、まったく次元が異なります。特に若いうちは、親の意向や周囲の目を気にしてしまい、自分の意思を貫くのが難しいものです。しかし、年齢や経験を重ねていくうちに、どこかで吹っ切れて自分らしい選択ができるようになることも多々あります。

自分軸を見つけるきっかけ「底つき体験」

私自身を振り返ってみても、医師になる道のりは親の希望に沿ったものでした。父親が内科クリニックを開業していたため、後を継ぐ前提で私自身も内科へ進むつもりだったのです。

しかし、研修医として総合診療部に配属された際、大きな壁にぶつかりました。指導医からのパワハラまがいの指導や、自身のセクシャリティに関する悩みなどが重なり、一時は研修を辞めようかと本気で悩むほど追い詰められました。そのどん底のような状況で、「精神科に行ってみよう」と思い立ったのです。これが親に相談することなく、初めて自分自身の意思を優先して下した決断でした。

ある意味での挫折体験でしたが、結果的に精神科の仕事にはやりがいを感じ、今の自分につながっています。つまり、他人軸や周囲の期待に従って生きてきた人が「自分らしい決断」を下せるようになるのは、「これ以上、人の期待通りに生きるのは無理だ」というところまで追い込まれた体験がきっかけになることが多いのです。

やりたいことが見えないうちは
無理に動かなくていい

では、自分の道を見つけるために今すぐ何をすべきかというと、「特別なことは何もしなくていい」というのがひとつの答えです。

自分の心の中に「これだ」という答えが見えてこないうちは、まだそのタイミングではないということです。やりたいことが明確でない時は、親や周囲の期待通りに過ごしていても構いません。いずれ必ず、「このままではうまくいかない」「もう嫌だ」と限界を感じる時が来ます。その時に初めて、自然と「自分はこうしたい」という道が見えてくるはずです。

最初から自分の進むべき道が見えていて、どんどん進んでいける人も確かにいます。しかし、先が見えない人が無理をして、強いモチベーションを捻り出そうと頑張る必要はありません。いつか心が「こちらへ行きたい」とサインを出した時に、少しの勇気を出して一歩を踏み出せばよいのです。

そうした気持ちが湧いてこないうちは、無理に動く必要はありません。まずは、焦らずに「あるがままの自分」を受け入れることから始めてみてください。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。