「アルテミス2」の打ち上げと帰還の成功は、宇宙探査を複雑な思いで見てきた筆者たちの世代の琴線に触れた。X世代の年長メンバー(1967年生まれ)である筆者は、幼稚園児の頃に見た、アポロ計画後期の月面着陸をおぼろげに記憶している。アポロ計画が1972年に終了した際、子どもだったわれわれは、予算上の制約も、長年続いてきた「宇宙開発競争」においてライバルのソ連に勝利したことも理解できていなかった。われわれはこのミッションの余韻の中で生きた。オレンジ風味の「タング」(宇宙飛行士が飲んでいた粉末ジュース)や全国ネットでのSFテレビドラマシリーズ「スター・トレック」の再放送、そして映画「スター・ウォーズ」が実際の月面着陸の代わりとなった。1970年代の冷笑的なムードにもかかわらず、喪失感や、将来を否定されたという感覚が訪れたのは、ずっと後のことだった。