「早く謝りなよ」――娘の客観的なひと言は、投資における「素早い損切り」の鉄則そのものかも? 非を認めず意地を張れば傷口は広がるばかり。失敗の重たい空気を引きずったまま株価チャートに向かえば、焦りからさらなる大損を招くハメに……。負の感情を断ち切り、無謀なリベンジトレードを防ぐ「メンタルリセット」の技術と、相場から物理的に距離を置く自己管理の重要性に迫ります!

「取り返してやる」はなぜダメ? 負の感情を引きずるダメな投資家とサッと切り替える儲かる投資家の違いPhoto: Adobe Stock

投資の失敗を引きずらない技術
相場の「重たい空気」を断ち切るルーティンの力

株式投資において、判断ミスによる損失そのものよりも恐ろしいのは、その失敗による「負の感情」を翌日以降のトレードに引きずってしまうことです。

以下の抜粋は、妻の逆鱗に触れてしまった夫と、それを冷静にたしなめる娘のやり取りです。ここには、投資家が身につけるべき「損切り」と「メンタルリセット」の極意が隠されています。

「お父さん、また何かしたの?」
「別に、何もしてないよ」
そう答えたが、明日香は納得していない様子だった。
「早く謝ったほうがいいと思うよ。どうせまた余計なこと言ったんでしょ。あれは相当怒ってるよ」
――『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』より

「早く謝る」=「素早く損切りする」という鉄則

第三者である娘(明日香)は、状況を極めて客観的に見て「早く謝ったほうがいい」と的確なアドバイスをしています。これを投資に置き換えるなら、妻の怒りは「自分の見立てに反して逆行する相場」であり、謝罪とは「損切り(撤退)」を意味します。

相場が明確にノーを突きつけているのに、「別に、何もしてない(自分は間違っていない)」と意地を張れば、傷口はどんどん広がります。自分の非を素直に認め、第三者のような客観的な視点で傷が浅いうちに素早く損切りを実行できるかどうかが、生き残る投資家の絶対条件です。

翌朝になっても、実咲の機嫌は直らなかった。「行ってきます」と声をかけても、返事はない。重たい空気をまとったまま、職場へと向かう。
――『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』より

負の感情を断ち切る「環境リセット」の重要性

損切りが遅れ、含み損や大きな失敗を抱えたまま翌朝を迎える絶望感は、多くの投資家が経験するものです。重たい空気をまとったまま株価チャートに向かえば、焦りから損失を取り返そうと無謀なトレード(リベンジトレード)に走り、さらなる大火傷を負うのがオチです。

では、この悪循環をどう断ち切ればよいのでしょうか?

到着した店舗には、県内でも有数の広さを誇る展示スペースにずらりと車が並んでいた。その光景を見ると、少しだけ気持ちが切り替わる。
――『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』より

この自動車販売会社に勤務する夫が、職場の展示スペースに並ぶ車を見ることで気持ちを少し切り替えたように、投資家にも「相場から完全に離れる時間と環境」が必要です。

パソコンの電源を落とし、外の空気を吸う、運動をする、あるいは本業の仕事に没頭するなど、物理的にチャートから距離を置くルーティンを持つこと。相場の波に飲み込まれたメンタルを意図的に「リセット」し、常にフラットな精神状態で次のチャンスを待つ自己管理能力は、長く利益を出し続けるための実践的なノウハウなのです。

※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)をもとに編集したものです。