87歳トレーダーが生活レベルを上げない理由
テレビ・ネットで「日本のウォーレン・バフェット」と話題! 1936年(昭和11年)、兵庫県の貧しい農家に4人兄弟の末っ子として生まれた。高校を出してもらってから、ペットショップに就職。そこでお客だった証券会社の役員と株の話をするようになったことがきっかけで、19歳のとき、4つの銘柄を買ったのが株式投資の始まりだった。バブル崩壊では10億円あった資産が2億円にまで激減。しかしあれから70年、89歳になった今、資産は25億円以上に増え(2026年2月時点)、月6億円を売買しながら、デイトレーダーとして日々相場に挑んでいる。隠しごとなしに日常生活から投資法まで全部書いた話題の書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。資産25億円に増えた今刊行した“小説形式”だからスラスラ読めて、プロの儲かる知識がドンドンわかる待望の続編は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)。
写真:川瀬典子
「五反」にも満たぬ、貧しさからの出発
私の生家は決して裕福な家庭ではありませんでした。実家は農家で、4反ほどの農地で米を作っていました。1反は300坪ですから、広いと感じられるかもしれませんが、専業農家としては、そこまで広いわけでもありません。
「五反百姓出ず入らず」(5反の農地を持っている農家は、お金が残りもしないが借金もしない)ということわざがあるくらいですから、4反だと生活はかなり厳しいです。
利益なき労働、シビアすぎる農家の収支
現在でも、1反だと米が600kgも収穫できたら御の字です。昨今は米価が値上がりしていますが、スーパーに行くと、銘柄によっては米5kgが4000円くらいで売られているでしょうか。となると、1反で48万円。4反で200万円にもなりません。
あくまで店頭価格でその値段なのですから、中間マージンを差し引いた農家の収入は、微々たるものなのです。そのうえ道具や肥料などの経費もかかります。そうするといくらも残りません。そんな状況で、きょうだいが4人もいたわけですから、裕福とは程遠い生活でした。
牛肉なんて夢のまた夢、ハレの日の「水炊き」
当時、「肉」といえば鶏肉でした。牛肉なんて、値段が高くて食べられません。私の家を含め、周囲の多くの農家がニワトリを飼っていました。それは、農作業の工程で出た大量の野菜くずや糠(ぬか)を餌えさに回せるからです。
ニワトリに卵を産んでもらって、その卵を食べる。そして、卵を産めなくなったら、そのニワトリを絞めて食べる。なので、贅沢といえば「水炊き」でした。いまでも特別贅沢をしたいと思わないのは、当時の記憶が色濃く残っているからだと思います。
【解説】資産25億円あっても生活レベルを変えない「入金力」の秘密
資産が数億円を超えた途端、高級車や豪邸にお金を使い、結局破綻してしまう投資家は少なくありません。しかし、シゲルさんは資産25億円を持ってもなお、幼少期に身につけた「質素倹約」の精神を貫いています。
投資において、複利の力を最大化させる燃料は「種銭(たねせん)」です。利益が出ても贅沢に使わず、再び相場に投入し続ける。この「当たり前」を70年間徹底できたからこそ、資産は増え続けました。
労働の限界を知り、「資本」の力に気づく
シゲルさんが農家の収支を冷静に分析している点にご注目ください。「これだけ働いても、手元にはこれしか残らない」という実体験は、労働集約型ビジネスの限界を痛感するきっかけとなったはずです。一方で、株式投資には「土地の広さ(=労働の限界)」という制約がありません。正しい判断さえできれば、資産は青天井に増えていきます。
この「ビジネスモデルの収益性」を見抜く冷徹な計算力こそ、銘柄選びの基本です。私たちが投資先を選ぶ際も、「その企業は、汗をかくだけで儲からないビジネスをしていないか?」「効率よく利益を生む仕組みがあるか?」という視点を持つことが重要です。
「足るを知る」が生む、投資家としての余裕
「贅沢といえば水炊きだった」という思い出を大切にし、今もそれ以上の贅沢を求めないシゲルさんの姿勢は、「足るを知る」という境地です。「もっとお金を使いたい」という欲望がないため、無理なハイリスク取引をする必要がありません。
この精神的な余裕が、暴落時でもパニックにならず、冷静にチャンスを待つことができる要因の一つでしょう。幸せのハードルをやみくもに高くしないこと。それは、欲望に振り回されがちな相場の世界で、自分の心を平常心に保つためのアンカー(錨)となるのです。
※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











