「4時間睡眠で十分」「自分はショートスリーパーだ」と思っている人は少なくない。しかし、短い睡眠でも日中の調子が落ちない人は、実際にはごくまれだ。多くの場合、自分では気づかないうちに、集中力や判断力が低下している可能性がある。1万人以上の患者を診てきた医師が、科学的根拠に基づいて執筆した『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から、一部を抜粋・編集し、体力を損なわないための睡眠のヒントを紹介する。
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ショートスリーパーはごくまれにしか存在しない
自分が最適だと思う睡眠時間は、さまざまだ。「自分は4時間寝れば十分」「ショートスリーパーだと思う」と自認している人もいるだろう。
だが、睡眠時間は「できる限り短く」抑えるよりも、原則としては、増やす前提で考えたほうがよい。成人では、7時間未満の睡眠が慢性的に続くと、健康や認知機能に悪影響を及ぼしやすい(*1)。
ごくまれに、睡眠時間が短くても日中の調子が落ちにくい自然短眠(ショートスリーパー)と呼ばれる体質の人がいる(*2)。ただし、これは例外で、「自分は短眠でも平気」と感じている人の多くは、実際には調子の低下に気づけていないだけだ。
実験では、6時間睡眠を2週間続けると、注意力などの成績は大きく悪化する一方、本人の眠気の自覚は途中で頭打ちになり、「慣れた」「大丈夫」と感じやすいことが示されている(*3)。
では、どう判断するか。次のような項目が目安となる。どれか1つでも当てはまるなら、4時間で足りている可能性は低い。
・週の後半になるとミスが増える、言葉が荒くなる、判断が遅いと指摘される
・休日に寝だめしたくなる、午後に強い眠気が出る
・カフェインがないとまわらない、静かな場面でうとうとする
結論として、多くの人にとって「短くても大丈夫」という感覚は、あてにならないことが多い。まずは1~2週間だけ、睡眠時間を30~60分増やしてみて、日中の集中力、気分、ミスの頻度がどう変わるかを確認するとよい。それで改善するなら、睡眠が足りていなかった可能性が高い。
1.Watson NF, Badr MS, Belenky G, Bliwise DL, Buxton OM, Buysse D, et al. Recommended amount of sleep for a healthy adult: a joint consensus statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society. Sleep. 2015 Jun 1;38(6):843-4.
2.Weedon MN, Jones SE, Lane JM, Lee J, Ollila HM, Dawes A, et al. The impact of Mendelian sleep and circadian genetic variants in a population setting. PLOS Genet. 2022 Sep 22;18(9):e1010356.
3.Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T. Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. J Clin Sleep Med. 2013 Nov 15;9(11):1195-200.
(本稿は『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』から一部抜粋・編集したものです。)






