AIをなかなか業務に取り入れられない人がいる一方で、
すんなり使いこなして成果を出す人がいる。

その差は、ITスキルでも年齢でもないという。1000社・3000名のビジネスパーソンのAI活用を見てきた、株式会社ガラパゴス代表・中平健太氏の著書『AIで終わる人 AIで化ける人』から、AIを味方につける人だけが持っている“意外な感情”を紹介する。

AIで終わる人Photo: Adobe Stock

「AIをすんなり使う社員」の正体

ある日の社内ミーティングで、AI導入を推進する幹部がふとこう言ったという。

「AIをすんなり使う社員って、不満を持っている社員なんだよね」

最初は腑に落ちなかったが、考えるほどに著者は納得したという。

現状に満足していれば、わざわざAIに挑戦して変化を起こす必要を感じにくい。
そもそも人間の脳は「変化が嫌い」で、安定を求めるようにできている。

その現状維持の力を上書きするエネルギーこそが「不満」なのだ。

「議事録に2時間」を無駄と思えるか

たとえば「会議の議事録作成」という業務。
満足思考の人は「自分はタイピングも速いし、2時間かければ正確な記録が作れる。
これも大事な仕事だ」と考え、そこに疑問を持たない。

一方、不満思考の人はこう考える。

「なぜ人間がこんな単調な作業をしなければならないんだ?
2時間もあれば、もっと創造的な企画が考えられるはずだ。この時間は無駄じゃないか?」

彼は現状に猛烈な不満を持っています。
この「不満」こそが、彼をAIへと向かわせる原動力になります。


――『AIで終わる人 AIで化ける人』より

結果、満足思考の人が2時間かけて「記録」を作っている間に、
不満思考の人はAIで5分で終わらせ、残りの時間を「次の戦略」や「学び」に使う。

不満とは、現状に「なぜ?」と問いを立てる力そのものだ。
そしてAIは、問いに答える最強のエンジンである。
問いを持つ人だけが、AIから最適な答えを引き出せる。

「面倒くさい」は、サボりではない

「面倒くさい」「やりたくない」「納得いかない」。

仕事中にそんな感情が湧いてきたら、自分を責めないでください。
それはあなたが怠惰なわけではなく、
あなたの脳が「このやり方には、もっと賢い答えがあるはずだ」と鋭く感知した証拠なのですから。

――『AIで終わる人 AIで化ける人』より

ただし、不満は諸刃の剣でもある。
著者は「不満を評論で終わらせないこと」「矛先を“人”ではなく“仕組み”に向けること」を強調する。

「この作業は無駄だ」と言うだけなら誰でもできる。
そこにAIという解決策をセットで差し出せるかどうかが、評価される人と“ただの不機嫌な人”を分ける。

(本記事は、『AIで終わる人 AIで化ける人』を一部抜粋し、作成したものです。)

中平健太(なかひら・けんた)
株式会社ガラパゴス 代表取締役社長
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行うなかでデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。