AI時代、プライバシーどう守るIllustration: Klaas Verplancke for WSJ

 今世紀はプライバシーにとって優しくはなかった。インターネットの台頭、位置情報を追跡するスマートフォン、何千社もの企業によって飲み込まれる私たちの無数のデータ、至る所で爆発的に増殖する監視――。さらに最近では、急速に進化する人工知能(AI)技術が私たちに関する膨大なデジタル記録を分析し、ほとんどあらゆることを推測できる。

 筆者は普段、何が間違った方向に進みかねないのかを考えている。空が落ちてくると悲鳴を上げるチキン・リトル(訳注・英国の物語に出てくるひよこ)よりも頻繁に、ディストピア(暗黒世界)に向かっていると嘆いてきた。物事は予想通りには進まず、実際には悪化している。

 このため、プライバシーに関して何が正しい方向に進み得るのかについて記事を書くには、筆者はかなり意外な人物だ。しかし、うまくいくかもしれないことが間違いなくあり、それが変化をもたらすのを助けるかもしれない。ただ、正しい方向へと後押しすることが必要ではある。

 最も有望なのは人々が本当にプライバシーを重視していることだ。相次ぐ世論調査がそれを示している。ハイテク企業が説明責任を果たさず、新たな技術をためらいもなく世に送り出していることに人々は怒りを覚えている。本当にプライバシーを重視していなければ、それを手にすることは決してない。だから、これが出発点だ。

 政策立案者はまた、プライバシー法の制定に忙しく、かなり迅速にそれを実行してきた。世界中で法令が成立している。米国では約4割の州で広範な消費者プライバシー法が成立し、他の多くの州では、生体や健康に関するデータ、子どものデータなどさまざまな問題に対処するプライバシー法が成立した。