同じ職場で働いていても、自ら進んで動く人もいれば、指示されなければ動かない人もいる。その違いは、本人の性格や熱意だけで決まるのだろうか。実は人が意欲的に動く理由は、本人の気持ちではなく、別のところにある。本稿では、その意外な理由を紹介する。

優秀なリーダーが「やる気」を求めない理由・ベスト1Photo: Adobe Stock

祭りの後の思い出

私は小学生の頃、地元のねぶた祭りに太鼓で参加していました。
何が一番楽しかったかというと、終わった後にジュースやお菓子が配られること。
それと、友だちとワイワイできる雰囲気。
祭りという非日常の中で、みんなで一つのことをやり遂げる感覚が、子ども心に強く残っています。

普段おとなしい人が、熱くなる理由

私が住む青森では、毎年8月にねぶた祭りがあります。
普段はおとなしい人が多いのに、その6日間だけは別人のように熱狂します。

なぜあそこまで変わるのか。
それは、祭りには人を熱くさせる「仕組み」があるからです。

明確なゴール。
期間が限定されている。
自分の役割がはっきりしている。
周囲も同じ方向を向いている。
観客がいる――見てくれている人がいるから、頑張れる。
そして、終わった後にはご褒美がある。

こうした要素が揃うと、人は自然と熱を持つのです。

職場にも、それを取り入れる

では、職場はどうでしょうか。

ゴールが見えにくい。
いつまで続くか分からない。
役割が曖昧。
周囲の温度もバラバラ。
誰も見ていない。
終わってもお疲れさまのひと言だけ。

こうした環境では、どんなに「熱意を持て」と言われても、持ちようがありません。
人が変わるのではなく、環境で人は変わるのです。

リーダーができること

リーダーにできるのは、「熱意が生まれる環境を設計する」ことです。

たとえば、大きなプロジェクトを小さなゴールに区切る。
達成したらその場で労う。
思い切って部下に任せてみる。
「この件、君に任せたい」と責任を持たせることで、部下は「自分の仕事」として楽しみを感じ始めます。

そして、リーダー自身が「観客」になることです。
部下の頑張りを見て、声をかける。
「よくやっているね」――そのひと言が、応援になります。

また、祭りの後のジュースとお菓子のように、「達成を分かち合う場」を作る。
それが、チームの一体感を生み出します。

熱意は才能ではなく、設計で生まれる

おとなしい人が熱くなる場所には、理由があります。
祭りのように、職場にも「熱が生まれる仕組み」を作ること。
それがリーダーの役目です。

(本稿は、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の発売を記念したオリジナル記事です)