「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「判断がブレブレの人と絶対ブレない人の差」とは? ライターの照宮氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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迷う暇もなく、不動産屋へ向かった日
引っ越しを思い立ったのは夏の終わり。春とは違い、物件の選択肢は最初から少なかった。
そんな中、気になる物件を見つけた。場所もいいし、何より建物に惹かれた。
ただ、内見ができるのは翌月に入ってからのようだった。
問い合わせると、「今は募集していますが、人気の物件なので、すぐに埋まる可能性があります」と言われた。
家賃は希望より少し高かった。その上、内見もできない。でも、この先、同じくらい気に入る物件が出てくるかどうかはわからない。あまり考えている余裕はない。メールが返ってきたその日に、不動産屋へ向かった。
決断の速い人と遅い人の差は、どこにある?
上場企業を経営しながらビジネス書の世界でも存在感を放つ木下勝寿氏は、著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。
(中略)
判断速度が上がり、判断がブレなくなり、後悔しなくなる。
結果、仕事でも人生でも、正しい選択を積み重ねられるようになります。
――『地頭スイッチ』より
あのときの私の最上位目的は、気に入った場所に住むことだった。家賃が高い、内見ができない、そういった引っかかりはあったが、最上位目的に照らせば、迷う理由がなかった。
迷いが生じるとき、多くの場合は、目先の条件や他者の評価が判断の軸になってしまっている。
そもそも何のためにやるのかをさかのぼれていないから、あれこれと考えすぎて動けなくなるのだ。
判断がブレる理由を言語化
私生活だけでなく、仕事においても、最上位目的を見失ったまま動いているとき、判断はブレやすい。上司にどう思われるか、損をしないか、そういった目先のことが頭を占めるほど、本来の目的から遠ざかっていく。本書は単なる地頭をよくする本ではない。人生の決断の「質」まで変えてくれる一冊だった。








