ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者の森武司氏は、創業以来18年連続増収増益・年商146億円を「仲間力」一本で実現してきた経営者である。
今回話を聞いたのは、この『スタートアップ芸人』に深く共感する経営者・小田原宗弘氏だ。仙台を拠点に美容・コンサルなど複数事業を手がけ、父の会社では30年間、経営に携わってきた。長年の採用経験から小田原氏はこう断言する。「能力が高い人を採用するほど、組織は静かに壊れていく」。その真意とは?(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「優秀な人」が組織を静かに壊していく理由ワースト1Photo: Adobe Stock

「優秀な人」が静かに組織を壊していく

――「いい人材が採れない」と悩む経営者は多いと思いますが、小田原さんはその悩み、どう捉えていますか?

小田原宗弘(以下、小田原):「いい人材」の定義が、能力やスキルになってしまっているのが問題だと思っています。

私は父の会社で30年経営に携わってきましたが、その間ずっとそこで失敗してきました。「何を大事にして働く会社なのか」を明確にして、それに共感してくれる人を採るように変えたときに、ガラッと良くなったんです。

――能力重視だと、なぜうまくいかないんですか?

小田原:能力が高くても会社の考え方に合わない人がいると、逆に結果が悪くなるんですよ。「社長はそう言っているけど、自分は違う」という人が1人いると、周りも引っ張られてしまう。数字を出している人ほど発言力も強いので、気づけば現場が会社の方針ではなく、その人の価値観で動くようになっていくんです。

――「組織が壊れる」というのは、具体的にどういうことが起きるんですか?

小田原:たとえば、うちは美容サロンを運営しているんですが、もし能力重視で優秀な営業マンを採用していたら、強引なクロージングをかけてしまっていたと思うんです。

その場では契約が取れても、後から口コミで悪い評判が広がって、結局は店全体の信用を落とす。お客様が納得して入ってくれているかどうかが大事なのに、数字を追うために無理に契約させてしまう。能力で採った人が、気づかないうちに会社を壊していくんです。

面接で見てはいけないもの、見るべきもの

――採用面接では、具体的にどんなことをするんですか?

小田原:ほとんど雑談しかしないですね。「今までどういう生き方をしてきたか」「前職をどう思っていたか」「なぜ辞めたのか」を聞いて、そのときどんな感情を持っていたかを見ます。素直かどうか、前向きかどうか、そういうところを見ています。

――逆に、面接でやってはいけないことはありますか?

小田原:「この人はどんな人か」を見極めようとしすぎることだと思っています。正直、面接で100%わかることはない。自分の会社の考え方を話したときに素直に反応してくれるかどうか、それくらいしか見ていません。後から合わない部分が出てきても、一緒に直していけばいい。完璧な人材を探そうとすると、逆に採用を誤ると思っています。

「責めない」と決めると、人は変わり始める

――入社後に問題が出たとき、どう対処するんですか?

小田原:以前の自分は、うまくいかない社員を見ると、「なんでやらないんだ」と責めていたんです。でも、それで人は変わらなかった。責めれば責めるほど、社員は萎縮して、さらに動けなくなっていく。その繰り返しでした。

だから今は、とにかく対話します。
こちらが一方的に教えるのではなく、一緒に考える

「こっちが偉いわけじゃなくて、どうやったらいいか一緒に考えよう。自分はこういうことを学んできたけど、これをやってみたらどうかな」という実験をしながらやっていきました。「どうやったらいいと思う? これを試してみたらどうだろう」と提案するんです。

そうすると本人が自分で考えるようになって、うまくいくと「そういうことか」と腑に落ちてくる。

――変化を感じるのは、どんな瞬間ですか?

小田原:何でも人のせいにしていた人が、「自分に原因があった」と気づいたときですね。そうなると自分で考えて動くようになる。

能力は後からついてくる。結局、「素直さ」と「前向きさ」さえあれば、人は入ってから変わっていける。採用で本当に大事なのは、その2つを見抜いて、入ってから一緒に育てていける関係をつくれるかどうかなんだと、長い経営経験のなかでようやくわかりました。

――最後に、改めて振り返ってみていかがですか?

小田原:優秀な人を集めれば、強い組織ができる――かつての自分はそう信じていました。でも実際には、誰と働くかのズレが、少しずつ組織を壊していったんです。森武司さんの『スタートアップ芸人』には、「仲間で会社をつくる」という考え方が実体験ベースで描かれています。採用や組織づくりに悩んでいる方には、参考になるかもしれません。

(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)