子どもを犯罪や事故から守りたい――それは、すべての親の願いだろう。しかし、「知らない人について行ってはいけない」と伝えるだけでは、十分とは言えない。では、子どもが自分の身を守れるようになるために、家庭では何を教えておけばよいのだろうか。話題の書『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』では、安全に暮らすためのおやくそくも紹介している。本記事では、教育評論家の親野智可等氏に、子どもが自分の身を守る力を育てるために大切なことを聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・佐藤里咲)

「知らない人について行くな」だけでは危険。子どもを守る3つの防犯ルールとは?Photo: Adobe Stock

――子どもたちの身近には、「危険」が隠れています。防犯について教えるとき、まずは何から教えればいいのでしょうか。

親野智可等(以下、親野) まず、不審者や暴力など危ない場面に遭遇したときのために教えておきたいのが、「NO・GO・TELL」という考え方です。

NOは「嫌だ」と言うこと。GOはその場から逃げること。TELLは親や先生など信頼できる大人に話すことです。

例えば、嫌なことをされたり、変なことを言われたりしたら、「やめて」「嫌だ」とちゃんと声に出して断る。次に、その場から離れる。逃げる。テレビなどでも紹介されることがありますが、ランドセルを背負ったままだと逃げにくい場合があります。そういうときはランドセルを置いて、自分だけでも逃げる。

次に、そのことを信頼できる大人に話す。
「変な人にこんなことを言われた」「友達にこんなことをされた」というふうに、親や先生に自分のみのまわりで起きたことを伝えるんです。
大人が知ることで、他の被害を防げることもありますし、自分の怖かった気持ちを誰かに話すことで、一人で抱え込まずに済みます。

――親として特に心配になるのは、登下校のときです。

親野 そうですよね。少なくとも年に一度は、親子で実際に通学路を歩いてみることをおすすめします。

そのときは、交通安全の面と防犯の面の両方を確認します。

例えば、「見通しが悪いね」「飛び出したらどうなるかな」という交通安全の確認もありますし、「昼間でも暗いね」「壁が続いていて人の目が届きにくいね」「死角になりやすいね」という防犯面の確認もできます。

できれば実際にそこに入ってみたり、そこにいる人に挨拶したりしておく。

場合によっては学校とも相談して、通学路を見直すこともあるかもしれません。

小学校入学前後に身につけておきたい93のおやくそくを収録した『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』という書籍にも、「じぶんで じぶんを まもろう」という項目がありますね。

「知らない人について行くな」だけでは危険。子どもを守る3つの防犯ルールとは?『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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親野 本にも出てきますが、「こども110番の家」をぜひ親子で確認しておいてください。
いざというときに逃げ込める場所を、親子で確認しておく。できれば実際にその場所まで行ってみる。
一度でも入ったことがあると、子どももいざというとき入りやすくなりますよ。

――「防犯」教育をするうえで大切なことはありますか?

親野 防犯について教えるときに気をつけたいのは、不安を与えすぎないことです。

また、最近よく言われているのは、「危ない場所に気をつけよう」と教えることが大事ということです。
以前は「知らない人や怪しい人・変な人に気をつけよう」だけでしたが、実は子どもの被害は知っている人からのケースも少なくありません。

それに、犯罪をする人が必ずしも見た目が怪しかったり変だったりするわけでもありません。
身なりの整った人だったり、顔見知りの大人だったりすることもあります。

ですから、「知らない人や怪しい人・変な人に気をつけよう」だけでは十分ではないんですね。

「人の目が届かない場所」「外から見えにくい場所」「大人と二人きりになってしまう場所」「逃げにくい場所」などという環境に注目することが大切です。

場所にフォーカスし、「この公園は外から見えにくいね」「この道は暗くて人通りが少ないね」というふうに、安全が保ちにくい場所を一緒に確認していくわけです。

――具体的に、注意すべき「環境」を教えるということですね。

そうです。それによって行き過ぎた人間不信を防ぐことにもつながります。

最後に、実際に「危険な場面に遭ったときの行動」を練習しておくこともおすすめします。
「NO・GO・TELL」を知っているだけではなく、「もし腕をつかまれそうになったらどうする?」「ランドセルはどうする?」「防犯ブザーはどう鳴らす?」といったことを、実際に親子でシミュレーションして練習しておくんです。

防犯ブザーも、ときどき実際に鳴らしてみましょう。
また、「道を教えてください」「案内してくれる?」と声をかけられたらどうするか。
人通りの少ない場所ならどうするか。

そういった場面もロールプレイで練習しておくと、いざというときに行動しやすくなります。
防犯は知識だけではなく、練習や準備がとても大切です。

(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)