ゆで太郎の冷やしなめこおろしそばPhoto:PIXTA

「駅前」「繁華街」「人通りの多い場所」――飲食店の出店では、そんな立地が勝ち筋と思われがちだ。ところが、22年連続黒字のそばチェーン「ゆで太郎」が見ているのは、単純な人の多さではない。「誰がその道を通っているのか」にこそ、繁盛店を生む秘密がある。交通量の多さより重視する意外な指標とは?※本稿は、株式会社ゆで太郎システム代表取締役の池田智昭『ゆで太郎の儲かる仕組み 22年連続黒字を支えるがっちり経営術』(ワニブックス)の一部を抜粋・編集したものです。

出店判断のカギになるのは
「事業車両の比率」

 ロードサイドの出店調査で一番重視しているのは、交通量ではありません。うちのお客様の車が何台通っているか、です。

 道路交通センサスというデータを使えば、目の前を1日に何台の車が通るかすぐわかります。しかし、それだけでは足りません。同じ1万5千台でも、ファミリーの軽自動車が多い道と、事業車両が多い道では、まったく意味が違うからです。出店を考える現場に実際に立って、事業車両の比率を自分の目で数える。それが出店判断のカギになります。

 その視点で見た時に、最も強い立地が、東京の外周、外環道沿いのエリアです。埼玉・戸田、新座、16号線沿いの東京・瑞穂、神奈川・相模原、大和。この辺りが今のゆで太郎の稼ぎ頭です。

 その理由は物流の拠点となる場所だからです。

 物流倉庫は土地の値段が高い都心部には置けません。そのため、都心から高速道路でつながりアクセスしやすい郊外に集まります。

 鉄道なら武蔵野線、道路なら外環道。千葉から埼玉を抜けて神奈川までをドーナツで結ぶエリアには物流の拠点が密集しています。トラックの運転手さんはもちろん、現場で働く方々、倉庫で働く方々がお客さんとなり得ます。

 この方たちは体が資本ですから、皆さんよく食べます。満腹セットを頼んでさらに大盛りにされる方も少なくありません。単価も高い上に、物流に定時はありませんから、ランチタイムだけでなく、朝も昼も夕方も来てくれます。その結果、1日を通して売り上げが立つ店舗になります。

人がたくさん通る道ではなく
「うちのお客様」が通る道を選ぶ

 大井競馬場前店もその典型でした。実はこの場所は私が見つけてきたんですが、出店の計画段階で、開発担当役員は「この店は売れませんよ」と言いました。「あんなところで本当にいいんですか」と苦い顔をしていましたから、散々な言われようです(笑)。

 しかし、私には確信がありました。実はあそこは私のホームグラウンドで、近くにあるホームセンターやニトリによく行っていたんです。

 まず周辺は倉庫街で競合がいません。また、会社員が多いのにビル内の飲食店しかない。見たところ、ローソンもセブン・イレブンも繁盛しています。そして、千葉へ行き来する際の通り道で、早朝や深夜に車が止められる場所があります。

 さらに、これは計算外だったのですが、近くにある大井競馬場の厩務員さんは三交代で働いていて、午前や午後のアイドルタイムに大勢で食べに来てくれるんです。また、週末にはフリーマーケットが行われていて、その来場者も来店します。元々の見込みに加えて、まったく計算に入れていなかった需要も重なり、よく売れる店になりました。

図 会議では疑問視されるも大成功を収めた西五反田二丁目店。会議では疑問視されるも大成功を収めた西五反田二丁目店。 同書より転載

 都心では西五反田2丁目店も出店会議で「ノー」と言われた店でした。前の道路には中央分離帯があり、非常に交通量が多いんですね。道路の先に需要はあるけれど、わざわざ道を渡って来ないだろうというのが大方の意見でした。