子どもが注意されると、言い訳ばかりしたり、なかなか謝れなかったりすることは珍しくない。そんな姿を見ると、「素直に認めなさい」と叱りたくなる親も多いだろう。しかし、実はその対応が、子どもの言い訳や嘘を増やしてしまうこともある。では、子どもが自分の間違いを認め、素直に謝れるようになるために、親はどのように接すればよいのだろうか。話題の書『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』では、「まちがえたことは あやまろう」というおやくそくも紹介している。本記事では、教育評論家の親野智可等氏に、子どもが素直に謝れるようになる親の関わり方について話を聞いた。

「言い訳ばかりする子ども」の親がやりがちなこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

子どもは言い訳もするし、嘘も言うのが当たり前

――子どもが何かよくないことをして、親が注意しようとすると言い訳ばかりする……。これは、よくあることではないでしょうか。このようなとき、親はどのように対応すると良いのでしょう。

親野智可等(以下、親野) これはよくある相談ですね。
まず知っておいてほしいのは、子どもはもともと言い訳もするし、嘘も言うということです。

子どもって、どんな場面でもどうしても立場が弱くなってしまいます。
だから、うまくいかなかった、失敗した、ミスしちゃったというときに、なんとかごまかそう、自分を守ろうという気持ちになります。
だから言い訳をしてしまうんですよね。
これはある意味、子どもとして自然なことなんです。

また、親が厳しすぎると、自分を守るために言い訳や嘘が増えてしまうことがあります。
親が共感的で寛容だと、子どもは言い訳や嘘を言わなくて済みます。

ですから、親ができることは日頃からとにかく子どもの話を共感的に聞いてあげること。
ミスや失敗をつつくのはやめることです。

そうしていれば、子どもは自分を守るための余分な言い訳をだんだんする必要が減りますよ。

――親がまずは寛容に、余裕のある態度で接してあげることが大切ということですね。

親野 そうそう。
実際に、子どもが言い訳ばかりしていたり、間違えたのに謝らなかったりするときも、まずは共感的に聞いてあげてほしいんですよね。

子どもの話の中には嘘も含まれているかもしれません。
でも、とりあえず聞いてあげる。

そうすると子どもは、「わかってもらえた」という安心感を持ちます。
そして同時に、「ママやパパは僕の話を聞いてくれた。受け入れてくれた」という信頼感も高まります。

実は、その状態になって初めて、「じゃあどうすればよかったかな?」「次からはどうする?」という話ができるようになるんです。
すると、「じゃあ次からはこうするよ」とか、「僕、やっぱり謝る」とか、自分で対応策を考えられるようになるんですね。

だから、言い訳だとわかっていても、まずは共感的に聞いてあげてほしいんです。
子どもが嘘を言ったり言い訳をしたりすると、「それ嘘でしょ」と決めつけたくなることもありますよね。
でも、その嘘や言い訳にも理由があるんです。
子どもなりに自分を守ろうとしている。

そのことを大人が理解したうえで関わってあげると、結果的に言い訳や嘘も少なくなっていくんですよね。

親自身が謝る姿勢を見せる

――子どもの言い訳や嘘を一方的に叱るのではなく、その内面を理解して寄り添ってあげることが大切なんですね。

親野 そうですね。あと、素直に謝れるようになるために、親ができることもあります。

それは、親自身がちゃんと謝る姿を見せることです。

例えば、「今度の日曜日に遊園地へ行こう」と約束していたのに、お父さんの都合で行けなくなったとします。
そんなとき、「しょうがないだろ。お父さんは仕事なんだから」と言うのではなく、「ごめんね。約束したのに行けなくなっちゃった」とちゃんと謝る。

実は、これができる大人って意外と少ないんですよね。
余計なお説教をしない。謝るときは、ちゃんと謝る。

そういう姿勢を身をもって示していれば、子どももそれを見て学びます。

――『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には「まちがえたことはあやまろう」という項目があります。「じぶんの しっぱいを みとめる」という言葉がありますが、これは親子間でも大切なことですね。

「言い訳ばかりする子ども」の親がやりがちなこと・ワースト1『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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① じぶんの しっぱいを みとめよう。
「うっかり きみの えんぴつを おってしまったんだ」
② あいての きもちを かんがえよう。
「うさぎさん かなしかっただろうな」
③ こころを こめて あやまろう。
「ほんとうに ごめんね」
④ くわしく いおう。
「えんぴつを おったこと、 はんせいしている」

『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用

親野 そうそう。このきりんさんのように、親も自分の失敗や間違えを子どもに対して認めてあげてください。
「子どもは親の言うことは聞かないけれど、することは真似る」と言いますよね。本当にその通りなんです。

だから、態度で示すことが大事なんですよ。

心理学では、これを「モデリング効果」といいます。
子どもは、大人が思っている以上に親や先生をよく見ています。

しかも、表面的な行動だけではありません。もっと深いところまで真似してしまうんです。
例えば、子どもが失敗したりサボったりしたとき、親が「何やってるの!」「ダメじゃない!」と感情的に叱ることがありますよね。

すると子どもは、「失敗したら叱られる」ということだけを学ぶわけではありません。
「何かうまくいかないことがあったら、相手を否定的に責めればいいんだ」ということまで学んでしまいます。
そして、「相手を責めれば自分もスッキリするんだ」ということまで学んでしまう。そこまで真似してしまうんです。

だからこそ、子どもに素直に謝れるようになってほしいなら、まず親自身が謝る姿を見せること。
そして、失敗したことを責めるのではなく、「じゃあ次はどうする?」と一緒に考える姿勢を見せること。
これらが何より大事なんだと思います。

(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)